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夏の脱水対策|経口補水液の正しい飲み方と適量

夏の脱水対策|経口補水液の正しい飲み方と適量

結論(要約):経口補水液(ORS)は“日常の水分補給用ドリンク”ではなく、脱水時に少量をこまめに飲んで体内の水分・電解質を素早く補うための特別用途の飲み物。暑熱環境では環境調整(エアコン・湿度管理)と合わせて使い分けるのが正解です。Cabinet Office Japan+1

目次

  • 経口補水液とは?──スポドリとの違い
  • いつ飲む?(予防・サイン・受診目安)
  • 正しい飲み方と“適量”の目安
  • よくある誤解・NG例
  • 熱中症の段階と対処
  • まとめ(環境調整・生活習慣とセットで)

経口補水液とは?──スポドリとの違い

経口補水液(ORS)は、水+電解質(主にナトリウム・カリウム)+ブドウ糖を最適比で配合し、小腸でのナトリウム‐グルコース共輸送を利用して水分を効率よく吸収させる“治療的な飲料”です。WHO/UNICEFは**低浸透圧ORS(Na⁺ 75 mmol/L、ブドウ糖 75 mmol/L、総浸透圧 245 mOsm/L)**を推奨しています。WHO Apps

日本では**「特別用途食品(病者用食品)」**に区分され、日常的に飲むものではない点が重要。パッケージに使用目的や注意事項の表示が義務づけられています。Cabinet Office Japan+1

スポーツドリンクとの違い
スポドリは運動時のエネルギー補給も目的のため糖分が多く、ナトリウムはORSより少なめ。脱水の改善にはORSが適しますが、日常の運動中のこまめな補給はスポドリor水+塩分補給が基本。os-1.jp


いつ飲む?(予防・サイン・受診目安)

予防的に

  • 高温多湿・長時間の屋外活動の前後:炎天下の作業・部活・大会など、大量発汗が見込まれる日に限って携行・使用を検討。普段から毎日飲むのはNG。Gov Online
  • 暑さ指数(WBGT)が高い日は無理をしない・休憩・涼しい環境へ。指標は環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます。WBGT
     └ 室内の暑さ対策は夏場のエアコン使用で注意したい7つのポイントが参考になります(設定温度・湿度・風向き)。

脱水のサインが出たら

  • 口渇、だるさ、軽い頭痛、尿が少ない・色が濃い、こむら返り など。少量をこまめに摂って様子をみます。Cabinet Office Japan

受診・救急の目安

  • 意識もうろう、繰り返す嘔吐、けいれん、高体温など重篤な症状は119番。ORSでの対処は不適切です。近年の国内ガイドラインでも重症例では迅速な冷却と医療対応を推奨。jaam.jph-crisis.niph.go.jp

正しい飲み方と“適量”の目安

基本は「少量を頻回」。一気飲みは吸収効率が落ち、胃腸に負担がかかります。5〜10分おきに数口を目安に。特に下痢・嘔吐を伴う脱水ではこの方法が推奨。Merck Manuals

温度:キンキンに冷やしすぎず、冷蔵〜常温で。冷やしすぎは胃腸刺激で逆効果になることも。

目安量の考え方(状況別)

  • 暑熱・発汗による軽度の脱水:喉の渇きや尿の色が戻るまで少量頻回。上限はその日の食事・持病・薬で変わるため、無理に本数で管理しない。
  • 下痢・嘔吐のある小児体重1kgあたり50–100mLを約4時間で(医療者の指示に従う)。Merck Manuals
  • 高齢者:誤嚥リスクに注意して一口量を小さく、こまめに。腎・心疾患、利尿薬使用中は医師・薬剤師に事前相談を。Cabinet Office Japan

よくある誤解・NG例

  • 毎日の習慣飲み:×。ORSは脱水時の“治療的”飲み物。ナトリウムなど電解質が多く、漫然と飲むと健康リスク(高血圧・腎疾患の方など)があります。Gov OnlineCabinet Office Japan
  • スポドリ=ORSと思っている:×。用途と組成が違う。運動のエネルギー補給はスポドリ、脱水の改善はORSos-1.jp
  • 手作りレシピで代用:推奨しません。濃度の誤差が起こりやすく、とくに小児・高齢者ではリスク。市販の表示に沿って使いましょう。WHO Apps

熱中症の段階と対処(かんたん早見)

  • I度(軽症):めまい・立ちくらみ・こむら返り。→ 涼しい場所へ、衣服を緩め、ORSで補給
  • II度(中等症):頭痛・吐き気・倦怠感・集中力低下。→ 体を冷やしつつ医療機関受診を検討
  • III度(重症):意識障害・けいれん・高体温。→ 救急要請(119)
    ※最新の国内ガイドラインでは重症度の考え方がアップデートされ**より重篤な段階(IV度)**の定義も提示。迷ったら救急。h-crisis.niph.go.jp

まとめ(環境調整・生活習慣とセットで)


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