【頭痛薬 空腹時に飲んでいい?】答えは成分で違う・箱で見る3か所
朝ごはんを食べずに家を出た日に限って、昼前からこめかみがズキズキしてくる。引き出しの頭痛薬に手を伸ばしたところで、ふと「頭痛薬って空腹時に飲んでいいんだっけ?」と手が止まった。そんな経験がある方に向けた記事です。
先に答えの形だけお伝えすると、空腹時の扱いは「頭痛薬」とひとくくりにはできません。医薬品医療機器総合機構(PMDA)に掲載された市販の解熱鎮痛薬の添付文書を成分ごとに読み比べると、空腹時についての書き方そのものが違っていました。つまり答えを持っているのは、手元の箱の中に入っている添付文書。この記事では、その答えが書かれている「箱の3か所」の見方を順番に案内します。
季節の市販薬シリーズ、春の花粉症の飲み薬・点鼻薬、夏の虫刺され薬に続く3本目は、秋の頭痛と市販の痛み止めです。書き手は登録販売者のとりじん。商品名は出さず、成分名と分類で書いていきます。
※この記事は、市販薬の箱や添付文書の読み方をまとめた一般的な確認の手順です。ご自身の症状に合うかどうかの判断は、医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
- 結論:頭痛薬を空腹時に飲んでいいかは、成分ごとに添付文書の書き方が違う
- 飲む前に確かめたい:薬より先に病院へ行く頭痛のサイン
- 秋の季節の変わり目、頭痛薬に手が伸びる日が増えたら
- 箱の1か所目「成分・分量」:単一成分か、カフェイン等の入った配合剤か
- 箱の2か所目「用法・用量」:空腹時の書き方は3成分で2通り
- 朝ごはん抜きの日、飲む前に何か口に入れたほうがいい?
- 空腹で飲んでしまったときに見ておくこと
- 箱の3か所目「してはいけないこと」:秋はかぜ薬と重なりやすい
- 頭痛薬の飲みすぎは月何回から?日本頭痛学会が示す「日数」の線引き
- 飲んだ日をカレンダーに印:頭痛ダイアリーのつけ方
- 市販薬だけで済ませている人は少なくない(1997年の全国調査)
- 回数が増えた・前ほど楽にならないときの相談先
- よくある質問
- まとめ:頭痛薬は飲む前に箱の3か所、飲んだ日はカレンダーへ
結論:頭痛薬を空腹時に飲んでいいかは、成分ごとに添付文書の書き方が違う
今回、市販の頭痛薬によく使われる3つの成分(アセトアミノフェン・イブプロフェン・ロキソプロフェン)について、それぞれ単一成分の製品を1つずつ選び、PMDAの添付文書を読み比べました。空腹時の書き方は、大きく2通りに分かれます。
- アセトアミノフェン単一成分の製品:製品の特徴の欄に「空腹時」にものめる旨が書かれている。ただし用法・用量の欄には「かぜによる悪寒・発熱時には,なるべく空腹時をさけて服用してください」という但し書きがある
- イブプロフェン単一成分の製品/ロキソプロフェン単一成分の製品:用法・用量の欄に「なるべく空腹時をさけて」と書かれている
ここで大事なのは、空腹時に飲めるかどうかを決めているのは筆者でも成分名のイメージでもなく、その製品の添付文書だという点です。同じ成分でも、製品によって書き方が違うことはあります。迷ったら、手元の箱の記載を最優先にしてください。
「空腹時はダメ」と覚えている人も、「この成分なら関係ない」と覚えている人も、実は半分ずつ合っていて半分ずつ足りません。成分ごとの書き方の違いは、このあと箱の2か所目で表にまとめます。その前に、薬より先に確かめておきたいことが1つ。
飲む前に確かめたい:薬より先に病院へ行く頭痛のサイン
空腹時かどうかを考える前に、まず「この頭痛は市販薬で様子を見てよい種類なのか」を確かめておきましょう。日本頭痛学会の一般向けページ「頭痛について知る」では、次のような場合は至急、脳神経外科または脳神経内科を受診して正確な診断を受ける必要があると書かれています。
- 急におこった頭痛で、これまでに経験がないひどい頭痛
- 突発して短時間でピークに達するような頭痛
- 熱がある
- 手足の麻痺やしびれを伴う
同じページには、頭痛が数週間のうちに悪化してくるような場合は、脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあるので注意が必要、という記載も見られました。
さらに日本頭痛学会の「2次性頭痛」のページでは、いつもと違う突然の強い頭痛が生じた場合は念のため病院に行きましょう、と案内されています。めまい・ふらつき、声がかすれる、物が飲み込みにくい、顔を含む体の感覚の異常といった症状を伴う頭痛については、できるだけ早く医療機関、特に神経内科や脳神経外科の専門医のいる病院を受診するよう書かれていました。
こうしたサインがあるときは、どの成分を選ぶか、空腹かどうかを考える段階ではありません。市販薬で痛みを抑えて様子を見るより、受診を先にしてください。
秋の季節の変わり目、頭痛薬に手が伸びる日が増えたら
朝晩の冷え込みが出てきたり、台風が続いたり。秋は「季節の変わり目になると頭痛が増える気がする」と感じる人もいる時期です。天気と体調の関係は人によって感じ方が大きく違うため、ここでは仕組みの話には深入りしません。気圧の変化と仕事中のつらさについては、低気圧で仕事がつらい日の伝え方をまとめた記事を用意しています。
この記事で扱うのは、季節の変わり目に頭痛の市販薬を飲む日が増えてきた人が、気になりやすい次の3つです。
- 空腹時:朝ごはん抜きの日に飲んでいいのか(箱の1〜2か所目)
- 飲みすぎ:どこからが「多い」のか(箱の3か所目と、日数の数え方)
- 受診:どこに相談すればいいのか(相談の目安と相談先)
どれも、箱と添付文書に書かれていることを読めば、かなりの部分が自分で確かめられます。
箱の1か所目「成分・分量」:単一成分か、カフェイン等の入った配合剤か
市販の頭痛薬の箱には、どの成分がどれだけ入っているかを示す「成分」「成分・分量」の欄があります。最初に見るのは、痛みを和らげる成分の名前です。
- アセトアミノフェン
- イブプロフェン
- ロキソプロフェン(箱では「ロキソプロフェンナトリウム水和物」などと書かれる)
このほかにもアスピリン(アセチルサリチル酸)などの成分がありますが、今回はよく見かける上の3つに絞ります。仕組みとしては、どれも痛みや熱に関わる体の反応に働きかける成分。違いを細かく覚える必要はなく、「自分の箱に書かれているのはどの名前か」が分かれば十分です。
もう1つ見ておきたいのが、痛みの成分が1つだけの「単一成分」なのか、カフェインなど補助の成分も組み合わせた「配合剤」なのか、という点。国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では、鎮痛成分にカフェインのような補助の成分を組み合わせた薬を「複合鎮痛薬」として扱っています。なお同じ分類では、補助の成分を含まず、非オピオイド系の鎮痛成分を2つ(例:アスピリンとアセトアミノフェン)組み合わせただけのものは、複合鎮痛薬に入らないとされています。
なぜここを見るのかというと、後で出てくる「飲みすぎ」の目安の日数が、単一成分か複合鎮痛薬かで違うからです。自分の箱がどちらに当たるのか判断がつかないときは、箱を持って薬剤師・登録販売者に聞くのが早道です。この記事で効き目の比較や「どれが一番」というランキングをしないのは、選ぶ基準が症状や体質によって変わるためです。
箱の2か所目「用法・用量」:空腹時の書き方は3成分で2通り
2か所目は、飲み方が書かれた「用法・用量」の欄です。空腹時についての記載は、たいていここに入っています。PMDAに掲載された3成分の添付文書(単一成分の製品を1つずつ)から、空腹時の書き方と、関連する項目を並べました。
| 項目 | アセトアミノフェン単一成分 | イブプロフェン単一成分 | ロキソプロフェン単一成分 |
|---|---|---|---|
| 空腹時の書き方 | 「空腹時」にものめる旨(かぜによる悪寒・発熱時は、なるべく空腹時をさけて) | なるべく空腹時をさけて | なるべく空腹時をさけて |
| 飲んでも良くならないときの相談の目安 | 5〜6回服用しても | 3〜4回服用しても | 1〜2回服用しても |
| リスク区分 | 第2類医薬品 | 指定第2類医薬品 | 第1類医薬品 |
| 対象年齢 | 今回の3件は、どれも15歳未満は服用しないと書かれている | ||
※代表的な製品1つずつの添付文書から写したものです。製品によって記載が違うことがあるので、手元の箱を優先してください。1回に飲む量や1日の回数は製品ごとに違うため、この表には入れていません。
アセトアミノフェン単一成分の製品
今回読んだ添付文書では、製品の特徴として「空腹時」にものめる旨が書かれていました。ただし、かぜで寒気や熱があるときは「なるべく空腹時をさけて」という但し書きつき。秋はかぜをひきやすい時期でもあるので、頭痛だけなのか、寒気や熱もあるのかで、同じ箱でも読むべき一文が変わります。
イブプロフェン単一成分の製品
用法・用量の欄に「なるべく空腹時をさけて」水またはぬるま湯で飲むよう書かれていました。リスク区分は指定第2類医薬品で、薬剤師だけでなく登録販売者からも購入できる区分です。
ロキソプロフェン単一成分の製品
こちらも用法・用量の欄に「なるべく空腹時をさけて」、水またはお湯で飲むよう書かれています。注意したいのはリスク区分で、今回の製品は第1類医薬品でした。厚生労働省のページによると、第1類医薬品は薬剤師による情報提供が義務とされ、登録販売者からも購入できるのは第2類・第3類と案内されています。登録販売者の私が販売できる区分ではないので、購入するときは薬剤師から説明を受ける形になります。
どの成分でも、飲む回数と間隔は用法・用量の欄に書かれたとおりに守るのが前提。表の数字を見て「この成分のほうが回数を多く飲める」と読むのは、添付文書の使い方として逆向きです。
朝ごはん抜きの日、飲む前に何か口に入れたほうがいい?
イブプロフェンやロキソプロフェンの箱に「なるべく空腹時をさけて」と書かれているなら、朝ごはん抜きの日はどうすればいいのか。添付文書の書き方に沿うなら、空腹時を避けて飲むことになります。
ただし、どのくらい食べれば「空腹時ではない」になるのか、その量までは今回読んだ添付文書に書かれていませんでした。ここを自分で決めつけず、次のように考えるのが現実的だと思います。
- 食事のあとなど、空腹時を避けて飲めるタイミングをつくる(朝食を抜きがちなら、食べられる物を用意しておく)
- 水で飲むのか、お湯やぬるま湯でもよいのかは、用法・用量の欄の書き方に合わせる
- どうしても食べられない日が続くなら、箱を持って薬剤師・登録販売者に「朝食をとれない日が多い」と伝えて相談する(第1類のロキソプロフェンの製品は薬剤師に)
アセトアミノフェン単一成分の製品は、空腹時についての書き方が違いました。とはいえ、かぜで寒気や熱がある日は「なるべく空腹時をさけて」の側に入ります。朝ごはん抜きの日に頭痛と一緒に寒気もあるなら、この但し書きを読み落とさないようにしたいところです。
「胃が心配だから胃薬も一緒に飲んでおこう」と考える方もいるでしょう。ただ、薬を2つ重ねるかどうかは組み合わせの判断になるため、自己流で足すより、頭痛薬と胃薬の両方の箱を見せて相談するほうが確かです。胃薬そのものの種類や役割の違いは、市販の胃腸薬の役割を整理した記事で詳しく書いています。
空腹で飲んでしまったときに見ておくこと
うっかり空腹のまま飲んでしまった。そんなときに見るのは、添付文書の「相談すること」の欄です。今回読んだ3件の添付文書には、飲んだあとに次のような症状が出た場合は副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、この文書(添付文書)を持って相談するよう書かれていました。相談先は、アセトアミノフェン・イブプロフェンの製品が医師・薬剤師・登録販売者など、第1類のロキソプロフェンの製品が医師・歯科医師・薬剤師です。
- アセトアミノフェン単一成分の製品:消化器の症状として、吐き気・嘔吐、食欲不振など
- イブプロフェン単一成分の製品:胃部不快感、胃痛などの消化器の症状
- ロキソプロフェン単一成分の製品:腹痛、胃部不快感、食欲不振、吐き気・嘔吐、胸やけなど
イブプロフェン単一成分の製品には、便が黒くなる、吐血、血便といった症状があるときは、直ちに医師の診療を受けるよう書かれた項目もあります。
挙げた症状は一部です。ほかにも皮膚の症状などが並んでいるので、気になる変化があれば、その製品の「相談すること」の欄を全部読んでおきましょう。症状が出ていなくても、不安なまま次の1回を飲む必要はありません。箱を持って相談すれば、続けてよいかどうかを自分だけで決めずに済みます。そして次からは、飲む前に用法・用量の欄の空腹時の書き方を先に読む。これがいちばん手堅い方法です。
箱の3か所目「してはいけないこと」:秋はかぜ薬と重なりやすい
3か所目は「してはいけないこと」の欄です。今回読んだ3件の添付文書には、どれも「本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も服用しないでください」として、「他の解熱鎮痛薬,かぜ薬,鎮静薬」が挙げられていました。あわせて、3件とも「服用前後は飲酒しないでください」と書かれています。
秋にここが気になるのは、かぜ薬と頭痛薬を同じ日に飲みたくなる場面が増えるからです。かぜ薬にも解熱鎮痛の成分が入っていることがあり、それを知らずに頭痛薬を重ねると、同じ働きの成分を二重に飲む形になりかねません。
どの組み合わせなら飲めるか、という個別の判断はこの記事ではしません。かぜ薬と頭痛薬の両方を飲みたいときは、2つの箱を並べて薬剤師・登録販売者に見せてください(第1類のロキソプロフェンの製品が含まれるなら薬剤師に)。箱を並べて成分を確かめる手順は、花粉症の市販薬を併用する前の確かめ方で、春の飲み薬を例に紹介しています。
同じ欄には「長期連用しないでください」(製品によっては「長期連続して服用しないでください」)という一文もありました。ロキソプロフェン単一成分の製品では、3〜5日間服用しても痛みなどの症状が繰り返される場合は、服用を中止し、医師の診療を受けるよう書かれています。
なお、今回の3件はいずれも15歳未満は服用しないと書かれた製品です。妊娠中・授乳中の方や持病のある方、ほかに飲んでいる薬がある方は、買う前に薬剤師・登録販売者(第1類のロキソプロフェンの製品は薬剤師)に伝えて相談してください。
頭痛薬の飲みすぎは月何回から?日本頭痛学会が示す「日数」の線引き
「週1〜2回飲んでいるけど、これって飲みすぎ?」という疑問には、日本頭痛学会の一般向けページ「薬剤の使用過多による頭痛」が手がかりになります。頭痛薬の飲みすぎがかえって頭痛を招く状態について、このページでは診断の目安として次のように説明されています。
- 以前から頭痛のある人で、頭痛が1か月に15日以上ある
- 頭痛の治療薬を、3か月を超えて定期的に使いすぎている
- 薬の種類ごとの日数:アセトアミノフェン(パラセタモール)やNSAIDなどの非オピオイド系鎮痛薬は1か月に15日以上、複合鎮痛薬は1か月に10日以上
イブプロフェンとロキソプロフェンは、このうちNSAIDに当たる成分です。同じページには、1種類ずつでは目安に届かなくても、複数の薬を合わせて1か月に10日以上、という項目も載っています。
ここで押さえたいのは2つ。1つ目は、数えるのが「回数」ではなく「飲んだ日数」だということです。1日に2回飲んでも、数えるのは1日。2つ目は、これが医師が診断に使う基準であって、「月◯日までなら飲んでいい」という意味ではないということ。自分で当てはめて「まだ平気」「もう当てはまる」と決めるためのものではなく、飲む日が増えてきたら相談する合図として受け取りましょう。
同じページには、薬剤の使用過多による頭痛で最も多いとされているのは複合鎮痛薬による乱用頭痛で、複合鎮痛薬は市販の鎮痛薬が代表例だ、という一文もあります。気軽に手に入りやすい分、飲む日数は自分で把握しておきたいもの。
週1〜2回が続いている、という状態をどう見るかは、頭痛の種類や飲んでいる薬によって変わるため、ここでは決められません。自分で線を引くより、飲んだ日の記録を持って相談するほうが話は早く進みます。その記録のつけ方が次の見出しです。
飲んだ日をカレンダーに印:頭痛ダイアリーのつけ方
日本頭痛学会の「薬剤の使用過多による頭痛」のページでは、頭痛ダイアリーを使って服薬日数を確認するよう勧めています。頭痛ダイアリーと聞くと難しそうですが、目的が「飲んだ日を数えること」なら、手帳やスマホのカレンダーで十分始められます。
最低限、次の3つを書いておけば、日数を数えるには困りません。
- 日付
- 頭痛があったかどうか
- 飲んだ薬(箱の成分名で書いておくと、単一成分か配合剤かも後で分かる)
月末にカレンダーを見返して、印のついた日を数えるだけ。秋のように頭痛が増えたと感じる時期は、なおさら記録が役立ちます。受診や薬局での相談のときにこの記録を見せれば、「いつから」「月に何日くらい」を口で説明するより正確に伝えられます。
目標の日数を自分で決める必要はありません。記録は、相談するときの材料としてつけておくものです。
市販薬だけで済ませている人は少なくない(1997年の全国調査)
頭痛があっても病院に行かず、市販薬で済ませている人はどのくらいいるのか。少し古い調査ですが、日本頭痛学会の「頭痛の診療ガイドライン」に引用されている1997年の全国調査(Sakai F, Igarashi H. Cephalalgia 1997)があります。15歳以上の4,029人を対象にした調査で、片頭痛のある人について、次のような割合が報告されています。
グラフのとおり、片頭痛のある人のうち69.4%が頭痛で一度も受診したことがなく、56.9%が市販薬だけで対処していました。日常生活に大きな支障があると答えた人は74.2%。一方で、自分の頭痛が片頭痛だと知っていた人は11.6%にとどまります。
注意したいのは、これが1997年の調査で、対象が「片頭痛のある人」だという点です。日本全体の割合でも、今の割合でもありません。同じ調査では、過去1年間の片頭痛の有病率が8.4%と報告されています。
それでもこの数字から読み取れるのは、つらさを抱えながら受診せずに市販薬だけで乗り切る人が、決して珍しくなかったということ。だからこそ、飲む日数を数えておくことと、どこで相談に切り替えるかの目安を知っておくことが大切になります。
回数が増えた・前ほど楽にならないときの相談先
相談に切り替える目安は、添付文書にも書かれています。今回読んだ3件の「相談すること」の欄では、何回飲んでも症状がよくならない場合に服用を中止して相談する、その回数が成分ごとに違っていました。
- ロキソプロフェン単一成分の製品:1〜2回服用しても症状がよくならない場合(他の疾患の可能性も考えられる)
- イブプロフェン単一成分の製品:3〜4回服用しても症状がよくならない場合
- アセトアミノフェン単一成分の製品:5〜6回服用しても症状がよくならない場合
ロキソプロフェンの製品の添付文書では、相談先は医師・歯科医師・薬剤師と書かれています。先ほど触れたとおり、3〜5日間服用しても痛みなどの症状が繰り返される場合は医師の診療を受けるよう書かれています。自分の箱が何回を目安にしているのか、一度確かめておくと、いざというときに迷わずに済むはずです。
日本頭痛学会のページでは、受診先についても次のように触れられていました。
- 数年以上前から同じような頭痛を繰り返している場合:脳神経内科、頭痛専門外来、脳神経外科などの受診
- 薬を連日飲んだり、薬の効果がなくなってきたと思ったりしたとき:自己判断で薬を飲むことはやめて、早めに頭痛専門医に相談
頭痛を専門に診る医師を探すなら、日本頭痛学会の認定頭痛専門医一覧から地域ごとに調べられます。病院に行くか迷う段階なら、まずは薬局で、飲んでいる薬の箱とカレンダーの記録を見せて薬剤師・登録販売者に相談するのも一つの方法です。
よくある質問
Q1. 頭痛薬を空腹時に飲んでしまいました。どうすればいいですか?
A. 飲んだ薬の添付文書の「相談すること」の欄を読んでください。今回確認した市販の解熱鎮痛薬の添付文書には、服用後に吐き気や胃部不快感などの症状が出た場合は直ちに服用を中止し、添付文書を持って相談するよう書かれていました。相談先は、アセトアミノフェンやイブプロフェンの製品では医師・薬剤師・登録販売者など、第1類医薬品のロキソプロフェンの製品では医師・歯科医師・薬剤師です。次に飲むときは、用法・用量の欄で空腹時についての書き方を先に確かめてください。
Q2. 頭痛薬と胃薬は一緒に飲まないといけませんか?
A. 薬を2つ重ねるかどうかは組み合わせの判断になるため、自己判断で足すより、頭痛薬と胃薬の両方の箱を薬剤師・登録販売者に見せて相談するのが確実です(第1類のロキソプロフェンの製品は薬剤師に)。まずは頭痛薬の用法・用量の欄に、空腹時についてどう書かれているかを確かめてください。
Q3. 頭痛薬は月に何日まで飲んでいいですか?
A. 「何日までならよい」という基準はありません。日本頭痛学会のページにある、アセトアミノフェンやNSAID(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど)の鎮痛薬は月15日以上、複合鎮痛薬は月10日以上を3か月を超えて、という目安は、医師が薬剤の使用過多による頭痛を診断するときに使うものです。飲む日が増えてきたら、飲んだ日の記録を持って薬剤師・登録販売者や医師に相談してください(第1類のロキソプロフェンの製品は薬剤師や医師に)。
Q4. かぜ薬と頭痛薬は一緒に飲めますか?
A. 今回確認したアセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェンの単一成分の製品の添付文書には、どれも服用中は他の解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬を服用しないよう書かれていました。両方飲みたいときは、2つの箱を持って薬剤師・登録販売者に相談してください(第1類のロキソプロフェンの製品が含まれるなら薬剤師に)。
Q5. ロキソプロフェンの市販の飲み薬は、なぜ薬剤師がいないと買えないのですか?
A. 今回確認したロキソプロフェン単一成分の市販薬は第1類医薬品でした。厚生労働省のページでは、第1類医薬品は薬剤師による情報提供が義務とされ、登録販売者からも購入できるのは第2類・第3類と案内されています。そのため、薬剤師から説明を受けて購入する形になります。
まとめ:頭痛薬は飲む前に箱の3か所、飲んだ日はカレンダーへ
頭痛薬を空腹時に飲んでいいか。その答えは成分ごとに、そして製品ごとに、添付文書の中に書かれています。飲む前に見る箱の3か所をまとめます。
- 成分・分量:痛みの成分の名前と、カフェインなどを組み合わせた配合剤かどうか
- 用法・用量:空腹時の書き方(「なるべく空腹時をさけて」か、かぜの発熱時だけの但し書きか)と、回数・間隔
- してはいけないこと:他の解熱鎮痛薬・かぜ薬・鎮静薬と重ねない、服用前後の飲酒をしない、長く続けない
そのうえで、飲んだ日はカレンダーに印をつけて日数で数える。急にひどい頭痛が来た、手足のしびれや熱を伴う、といったサインがあるときは、薬より先に受診する。この3つの習慣があれば、季節の変わり目の頭痛とも落ち着いて向き合えるはずです。今夜、引き出しの頭痛薬の箱を一度取り出して、成分の欄を読んでみてください!
この記事を書いた人
とりじん。登録販売者。市販薬の記事は、商品名ではなく成分名・分類で、PMDAに掲載された添付文書と日本頭痛学会の一般向けページの記載をもとに書いています。個別の症状や飲み合わせの判断は、医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
数字の根拠
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬、単一成分、2026年10月19日確認)… 空腹時の記載、かぜによる悪寒・発熱時の但し書き、5〜6回、第2類医薬品、15歳未満、併用・飲酒・長期連用 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(イブプロフェンを含む解熱鎮痛薬、単一成分、2026年10月19日確認)… なるべく空腹時をさけて、3〜4回、指定第2類医薬品、15歳未満、併用・飲酒・長期連用、胃部不快感・黒い便など ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(ロキソプロフェンを含む解熱鎮痛薬、単一成分、2026年10月19日確認)… なるべく空腹時をさけて、1〜2回、3〜5日間、第1類医薬品、15歳未満、併用・飲酒 ページを開く
- 日本頭痛学会「頭痛について知る」(2026年10月19日確認)… 至急受診が必要な頭痛のサイン、数週間のうちに悪化する頭痛、慢性頭痛の受診先 ページを開く
- 日本頭痛学会「2次性頭痛」(2026年10月19日確認)… いつもと違う突然の強い頭痛、めまい・ふらつき等を伴う頭痛の受診先 ページを開く
- 日本頭痛学会「薬剤の使用過多による頭痛」(2026年10月19日確認)… 月15日以上、3か月を超えて、非オピオイド系鎮痛薬 月15日以上、複合鎮痛薬・複数の薬 月10日以上、頭痛ダイアリー ページを開く
- 国際頭痛分類第3版(ICHD-3)「8.2.5 Combination-analgesic-overuse headache」(2026年10月19日確認)… 複合鎮痛薬の定義(カフェインなどの補助成分) ページを開く
- 日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン」掲載の文献抄録 Sakai F, Igarashi H. Cephalalgia 1997(2026年10月19日確認)… 15歳以上4,029人、有病率8.4%、受診したことがない69.4%、日常生活に大きな支障74.2%、市販薬だけで対処56.9%、片頭痛と知っていた11.6%(グラフの出典) ページを開く
- 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」(2026年10月19日確認)… 第1類医薬品は薬剤師による情報提供が義務、第2類・第3類は登録販売者からも購入可能 ページを開く
※引用元は、PMDAに掲載された添付文書の一例です。特定の製品をすすめるものではありません。
登録販売者が書く「季節の市販薬」シリーズ(全4回)
- 春:花粉症の市販薬:飲み薬・点鼻薬・目薬を重ねる前の確認
- 夏:虫刺され薬:子供用と大人用の違い
- 秋:頭痛薬:空腹時に飲んでいいかは成分で違う(この記事)
- 冬:せき止め:大人用を子どもに半分、はなぜ避けるのか
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