【大人用の咳止め 子供に半分】量の問題じゃない・箱で見る3か所
夜中の2時、子ども部屋から止まらない咳が聞こえてくる。薬箱を開けると、入っているのは自分用に買った大人用の咳止めだけ。「半分にすれば、子どもに飲ませても平気かな」と、スマホを手に取った方もいるはずです。
先に答えの形をお伝えします。大人用の咳止めを子どもに半分、という考え方は、量の問題として見ると判断を誤りやすい。手がかりになるのは「中に入っている成分」と「その薬が何歳から使える決まりになっているか」の2つで、どちらも箱と添付文書に書いてあります。この記事では、その答えが書かれている「箱の3か所」を順番に案内します。
季節の市販薬シリーズは、今回の冬のせき止めで4本目、最終回です。春は花粉症の飲み薬と点鼻薬を一緒に使っていいか、夏は虫刺され薬の子ども用と大人用は何が違うのか、秋は朝ごはん抜きで頭痛薬を飲んでいいのかを取り上げました。書き手は登録販売者のとりじん。今回も商品名は出さず、成分名と添付文書の記載で書いていきます。
※この記事は、市販薬の箱や添付文書の読み方をまとめた一般的な確認の手順です。お子さんに飲ませてよいか、どの薬が合うかの判断は、小児科の医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
- 【結論】大人用の咳止めを子どもに半分、は「量」より「成分」と「年齢の決まり」で考える
- 物差し①「量」:半分にしても、中に入っている成分の種類は変わらない
- 物差し②「成分」:12歳未満は服用しないと書かれた成分がある(コデイン類)
- 物差し③「年齢の決まり」:用法・用量の表で、子どもの年齢の行を探す
- 箱で見る3か所:「用法・用量」→「してはいけないこと」→「成分」の順に
- 子ども用のせき止めにも「2才未満は医師の診療を優先」の一文がある
- 子ども用でも大人用でも「ほかのかぜ薬と重ねない」の欄は共通
- 看病する親が飲むなら:翌朝の運転は箱の「運転操作」の欄を見る
- シロップか錠剤か:選ぶときに見るのは年齢の表示
- 今夜、薬の前にできること(はちみつは1歳を過ぎてから)
- 受診の目安を確かめる:息の苦しさ・ゼーゼー・ぐったり・生後3か月未満
- 相談するときは箱ごと:薬剤師・登録販売者・小児科に伝える3つ
- よくある質問
- まとめ:「季節の市販薬」4回で伝えたかった箱の見方
【結論】大人用の咳止めを子どもに半分、は「量」より「成分」と「年齢の決まり」で考える
東京都保健医療局の「親子のためのくすりとくらしのガイド」には、こう書かれています。
子どもは大人の「ミニチュア」ではありません。子どもは大人より薬を取り込む力、分解する力、体の外に出す力が強かったり弱かったりするので、大人の薬を自己判断で増減して飲ませてはいけません。
つまり「半分にすれば子ども向けになる」という考え方そのものが、東京都のガイドとは合わないということ。
では、何を見ればいいのか。医薬品医療機器総合機構(PMDA)に掲載されている、大人用のせき止め(ジヒドロコデインリン酸塩を含む鎮咳去痰薬)の添付文書を開くと、「してはいけないこと」の1番目に「次の人は服用しないでください 12歳未満の小児。」とあります。用法・用量の表にも「12歳未満:服用しないでください」の一行がありました。
この製品の場合、7歳の子に半分なら、という話になる前に、そもそも12歳未満は服用しない決まりの薬なのです。飲ませてよいかを決めているのは筆者でも親の感覚でもなく、その製品の添付文書。答えを持っているのは、手元の箱です。
ここからは、「半分にしたら?」という思い込みを、①量 ②成分 ③年齢の決まり、という3つの物差しに分けて1つずつ見ていきます。
物差し①「量」:半分にしても、中に入っている成分の種類は変わらない
大人用の咳止めを半分にすると、変わるのは1回に飲む量だけです。錠剤を割っても、シロップを計量カップの半分で止めても、その中に入っている成分の種類は1つも減りません。
大人用のせき止めの中には、せきを鎮める成分のほかに、たんを出しやすくする成分、鼻水やくしゃみに関わる成分(抗ヒスタミン成分)、カフェインなどを組み合わせた配合剤が少なくありません。先ほどのPMDAの添付文書の例でも、成分の欄には9種類の名前が並んでいました。
そのうち1つでも「12歳未満は服用しない」と決められた成分が入っていれば、量を減らしてもその決まりは変わらない。ここが「半分ならいい?」の落とし穴です。
この記事では、何分の1なら飲ませてよいか、という量の話はしません。そうした基準が、子どもに使う量として添付文書に書かれているわけではないからです。減らす量を考える前に、その成分がその子の年齢で使えるものかを確かめる。順番はこちらが先です。
物差し②「成分」:12歳未満は服用しないと書かれた成分がある(コデイン類)
大人用のせき止めで、特に名前を覚えておきたい成分が2つあります。
- コデインリン酸塩水和物
- ジヒドロコデインリン酸塩
まとめて「コデイン類」と呼ばれる成分です。日本呼吸器学会の一般向けページ「呼吸器Q&A」のQ1では、この2つが、脳のせきの中枢に働いてせきを抑える「中枢性鎮咳薬」の代表として挙げられています。
なぜ12歳未満に使わないのか。厚生労働省は令和元年(2019年)7月9日付の通知「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩又はトラマドール塩酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)」で、これらを含む医薬品について「12歳未満の小児」を禁忌とし、その目的を「呼吸抑制発生リスクの低減のための予防的措置」と説明しています。
市販薬(一般用医薬品)についても、PMDAが公開している使用上の注意の改訂指示(別紙11、対象はかぜ薬・鎮咳去痰薬のうちコデイン類を含む一般用医薬品)で、「してはいけないこと」の「次の人は服用しないこと」の欄に「12歳未満の小児」を新しく加えるよう示されていました。改訂前は、「用法及び用量に関連する注意」の欄に「12歳未満の小児には、医師の診療を受けさせることを優先すること。」と書かれていました。改訂でこの一文は削除され、代わりに「してはいけないこと」へ「12歳未満の小児」が加わった形です。
実際、先ほどの大人用のせき止めの添付文書では、まれに起こる重い症状の欄に「呼吸抑制:息切れ,息苦しさ等があらわれる。」と書かれています。
なお、同じ改訂指示には「用法及び用量で認められている最小の年齢が13歳以上の場合」は、「12歳未満」をその最小の年齢に置き換えて書く、という注記もありました。箱によっては「15歳未満」など、別の年齢で書かれていることもあります。数字そのものより、「その子の年齢が、服用しない側に入っているか」で読んでください。
「ジヒドロコデインリン酸塩」も、名前の中に「コデイン」が含まれています。成分の欄を上から指でなぞって、この4文字があるかどうか。長い名前を覚えなくても、そこだけなら夜中でも確かめられます。
物差し③「年齢の決まり」:用法・用量の表で、子どもの年齢の行を探す

3つ目の物差しは、用法・用量の表にある年齢の区切りです。PMDAに掲載された2つの添付文書を並べると、年齢の書き方がまったく違うことが分かります(量の数字は載せていません)。
| 添付文書の例 | 用法・用量の表にある年齢の区切り | 服用しない年齢の書き方 |
|---|---|---|
| 大人用のせき止め(ジヒドロコデインリン酸塩を含む鎮咳去痰薬) | 大人(15歳以上)/12〜14歳 | 「12歳未満:服用しないでください」 |
| 子ども用のせき止め(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を含む小児用鎮咳去痰薬) | 5才以上8才未満/3才以上5才未満/1才以上3才未満/3カ月以上1才未満 | 「3カ月未満 : 服用しないでください。」 |
出典:PMDA 一般用医薬品の添付文書(2026年10月19日確認)。表は年齢の区切りと文言だけを抜き出したもので、量は省いています。
大人用の例には、7歳の子が当てはまる行がありません。逆に子ども用の例は「8才未満」までで、大人や中学生の行がない。どちらも、その薬が想定している年齢がはっきり決まっているわけです。
見方はシンプルで、お子さんの年齢の行がその箱にあるかどうか。行がなければ、その薬はその年齢向けに用意されたものではありません。行があったとしても、ほかの欄(このあと見る「してはいけないこと」など)に当てはまる項目がないか、続けて確かめます。
箱で見る3か所:「用法・用量」→「してはいけないこと」→「成分」の順に
ここまでの3つの物差しを、夜中に箱を手にしたときの手順にまとめます。
- 用法・用量:お子さんの年齢の行があるか。「〇歳未満:服用しないでください」の一行もここにあります
- してはいけないこと:「次の人は服用しないでください」の欄に「12歳未満の小児」などの年齢が書かれていないか
- 成分:「コデイン」の4文字を含む成分名がないか
年齢の欄から見るのは、ここで行が見つからなければ、その時点で手が止められるからです。2か所目で「してはいけないこと」を読むと、年齢以外の理由(ほかの薬との重なりなど)にも気づけます。成分の欄は最後の確認。外箱に「してはいけないこと」の全文が載っていないときは、箱の中の添付文書を開いてください。
熱も出ていて「風邪薬と咳止め、どっちを見ればいいの?」と迷ったときは、インフルエンザかもしれないときに市販薬の箱で確かめる点を整理した記事も参考になります。発熱があるときの見方は、そちらにまとめました。
子ども用のせき止めにも「2才未満は医師の診療を優先」の一文がある
「じゃあ子ども用なら、何歳でも飲ませていいの?」と思った方へ。子ども用のせき止めにも、年齢についての決まりがあります。
先ほどの子ども用のせき止め(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を含む小児用鎮咳去痰薬)の添付文書では、用法・用量に関連する注意として、次の2つが書かれていました。
- 「小児に服用させる場合には、保護者の指導監督のもとに服用させてください。」
- 「2才未満の乳幼児には、医師の診療を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させてください。」
表で見たとおり、3カ月未満は服用しない決まりです。2才未満は、市販薬より先に小児科の受診を考える年齢として扱われていることになります。
ここで紹介したのは、あくまでPMDAに掲載された1つの製品の例。子ども用のせき止めでも、成分の組み合わせや年齢の区切りは製品ごとに違います。だからこそ、手元の箱の記載がいちばんの根拠になります。
子ども用でも大人用でも「ほかのかぜ薬と重ねない」の欄は共通
2つの添付文書を読み比べて、共通していた注意がもう1つあります。「してはいけないこと」の欄にある、ほかの薬との重なりです。
大人用・子ども用のどちらの例にも、服用中は「他の鎮咳去痰薬、かぜ薬、鎮静薬、抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(鼻炎用内服薬、乗物酔い薬、アレルギー用薬等)」を使用しないよう書かれていました。
冬は、総合かぜ薬、鼻炎の薬、せき止めが同じ時期に家に揃いやすい季節です。せき止めのほかにかぜ薬を飲ませている、アレルギーの薬をもらっている、という場合は、成分が重なっていることがあります。どれとどれなら一緒に使えるかは、この記事では判断しません。家にある薬を箱ごと持って、薬剤師・登録販売者に聞くのが確実です。花粉症の時期の飲み合わせについては、シリーズ春の回でも同じ考え方で整理しました。
看病する親が飲むなら:翌朝の運転は箱の「運転操作」の欄を見る

子どもの咳がうつったのか、自分も喉がイガイガする。そんなときに大人用の咳止めを飲む場合、確かめたいのが運転の欄です。「咳止めを飲むと眠くなるけど、翌朝の運転はどうする?」という疑問の答えも、この欄に書かれています。
大人用のせき止めの例では、「してはいけないこと」の欄に「服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないでください」とあり、理由として「(眠気等があらわれることがあります。)」と添えられていました。子ども用の例にも、同じ「服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないでください」の一文があります。
眠気を感じなかったら運転してよい、とは書かれていません。「何時間空ければ運転してよい」という目安も、今回読んだ添付文書にはありませんでした。翌朝に運転の予定があるなら、飲む前に薬剤師・登録販売者に相談するのが手堅い順番です。
法律の面では、道路交通法第66条に「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と定められています(e-Gov法令検索、2026年10月19日確認)。
「眠くなりにくい」とうたう薬であっても、運転についての書き方は製品ごとに違います。この点は、シリーズ春の回で花粉症の薬を例に詳しく書きました。
授乳中・持病がある人は「相談すること」の欄も先に
大人用の例では、「してはいけないこと」に「授乳中の人は本剤を服用しないか,本剤を服用する場合は授乳を避けてください」という一文もありました。
さらに「相談すること」の欄では、服用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談する人として、次のような項目が挙がっていました(一部抜粋)。
- 医師の治療を受けている人。
- 妊婦又は妊娠していると思われる人。
- 次の症状のある人。高熱,排尿困難
- 次の診断を受けた人。心臓病,高血圧,糖尿病,緑内障,甲状腺機能障害,呼吸機能障害,閉塞性睡眠時無呼吸症候群,肥満症
看病で疲れているときほど、箱の裏をじっくり読む余裕はなくなりがちです。自分の分を飲む前にも、子どもの分と同じように欄を1つずつ見てください。
シロップか錠剤か:選ぶときに見るのは年齢の表示
「子どもならシロップのほうがいい?」「錠剤とシロップ、どっちが強い?」という疑問もよく聞かれます。ただ、形の違いでどちらが強いかを比べた公的な資料は、今回見つけられませんでした。なので、この記事では比べません。
選ぶときに見るのは、ここでも年齢の表示です。シロップであっても大人用なら、子どもの年齢の行がないことがあります。逆に錠剤でも、子どもの年齢の行が設けられた製品はある。形より先に、用法・用量の表にお子さんの年齢があるかを確かめてください。
シロップを使うときは、製品に付いている計量カップを使い、目盛りは用法・用量の表のその年齢の行に従います。家にある別のスプーンやカップで代用すると、量がずれやすくなります。
今夜、薬の前にできること(はちみつは1歳を過ぎてから)

箱を確かめた結果、手元に飲ませられる薬がない。そんな夜もあります。薬以外でできるのは、子どもが少しでも楽に過ごせるように環境を整えることです。
- 部屋の空気が乾きすぎないようにする(加湿器、濡れタオルを干すなど)
- 少しずつ水分をとらせる
どれも咳そのものを止めるものではなく、過ごしやすくするための工夫です。加湿と喉の関係は、朝起きたときの喉の痛みと加湿器の使い方をまとめた記事でも取り上げています。
もう1つ、よく耳にするのが「咳にははちみつ」という話です。厚生労働省のページ「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」では、1歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べることで乳児ボツリヌス症にかかることがあるとして、「1 歳未満の乳児には与えないで下さい。」と呼びかけています。同じページによると、原因菌の芽胞は通常の加熱や調理では死なないとされています。咳が気になる夜でも、1歳を過ぎるまでは与えないようにしてください。
受診の目安を確かめる:息の苦しさ・ゼーゼー・ぐったり・生後3か月未満
咳が出ているとき、市販薬を飲ませる前に確かめたい項目があります。日本小児科学会の「こどもの救急」(ONLINE-QQ)の「せき・ゼェゼェする」のページでは、次のような項目にチェックを入れて、受診の目安を確かめられるようになっています(項目は原文のまま、一部)。
| 見るところ | 原文の言葉 |
|---|---|
| 息の様子 | 呼吸があらく、苦しそう/胸が凹むペコペコした呼吸をしている/ゼーゼーしている/呼吸が苦しく会話ができない。 |
| 顔色・元気 | 口唇の色が悪い/元気がなく、ぐったりしている |
| 声 | かすれて声が出せない |
| もともとの体質・年齢 | 気管支が弱い、ぜんそくと言われたことがある/生後3か月未満である |
出典:日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)」せき・ゼェゼェする(2026年10月19日確認)。どの項目でどう動くかの判定は、サイトでチェックを入れて「結果を見る」で表示されます。原文には「元気がある」「水分は取れている」などの項目もあり、表はその一部を抜き出したものです。
どの組み合わせなら救急、どれなら翌日の受診、という区分は、サイトでお子さんに当てはまる項目を全部選んで確かめてください。夜中に迷ったときこそ、このページを開いてみる価値があります。
電話で相談したいときは、子ども医療電話相談事業(#8000)という窓口があります。厚生労働省のページによると、平成22年(2010年)7月5日から全国で実施されており、都道府県ごとの電話番号と受付時間が一覧になっています(2026年10月19日確認)。お住まいの地域の受付時間は、厚労省のページで確かめてください。
長引く咳については、日本呼吸器学会の「呼吸器Q&A」が参考になります。Q1「からせき(たんのないせき)が3週間以上続きます。」では、風邪によるせきは通常3日以内でピークを越えて次第におさまる一方、数日以降も長引く場合はほかの原因も考えるとして、「からせきが長引き心配な場合には受診してください」と案内しています。Q3「夜間や早朝にせきが出ます。」では、早朝に「ヒューヒュー」や「ゼーゼー」といった音を伴う場合に、もっとも考えられる病気として気管支喘息が挙げられていました。
市販薬を使った場合の区切りも、添付文書にあります。大人用・子ども用の例のどちらにも、「5〜6回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し,この文書を持って医師,薬剤師又は登録販売者にご相談ください」という趣旨の記載がありました(子ども用の例は「相談してください」)。高熱がある人は服用前に相談すること、という項目も、両方の「相談すること」の欄に入っています。
相談するときは箱ごと:薬剤師・登録販売者・小児科に伝える3つ

夜が明けて相談に行くとき、または電話で相談するときに、伝えると話が早い3つがあります。
- 子どもの年齢:何歳何か月か
- 家にある薬・今飲んでいる薬:名前を覚えていなくても、箱ごと持って行けば、成分の欄をその場で一緒に確かめられる
- いつから・どんな咳か:何日目か、夜や早朝に多いか、ゼーゼーする音があるか、熱はあるか
相談先は、箱に書かれたリスク区分の表示が目安になります。厚生労働省のページでは、第1類医薬品は薬剤師による情報提供が義務とされ、第2類・第3類医薬品は薬剤師だけでなく登録販売者からも購入できる、という案内です。今回例に挙げた2つの添付文書は、大人用が指定第2類医薬品、子ども用が第2類医薬品でした。
登録販売者の私が店頭でお手伝いできるのは、箱の年齢の欄や「してはいけないこと」を一緒に読み、受診をすすめたほうがよい状況かどうかを確かめるところまで。お子さんの症状そのものの判断は、小児科の医師の役割です。
よくある質問
Q1. 大人用の咳止めを子どもに半分だけ飲ませてもいいですか?
A. 量ではなく、成分と年齢の決まりで考えてください。PMDAに掲載された大人用のせき止めの添付文書には、12歳未満は服用しないと書かれたものがあります。東京都保健医療局のガイドも、大人の薬を自己判断で増減して子どもに飲ませないよう呼びかけています。手元の箱ごと、薬剤師・登録販売者・小児科に相談してください。
Q2. 12歳未満に使えない咳止めの成分は何ですか?
A. コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩などのコデイン類です。厚生労働省は2019年7月9日付の通知で、これらを含む医薬品について12歳未満の小児を禁忌としました。箱の「してはいけないこと」の欄と、成分の欄で確かめてください。
Q3. 子ども用の咳止めは何歳から使えますか?
A. 製品ごとに用法・用量の表で決まっています。PMDAに掲載された子ども用のせき止めの例では、3カ月未満は服用しない、2才未満は医師の診療を受けさせることを優先する、と書かれていました。手元の箱の年齢の行を確かめてください。
Q4. 咳止めを飲んだ翌朝、車を運転してもいいですか?
A. 添付文書の記載に従ってください。PMDAに掲載されたせき止めの添付文書には、服用後は乗物又は機械類の運転操作をしないよう書かれたものがあります。運転の予定があるときは、飲む前に薬剤師・登録販売者に相談してください。
Q5. 子どもの咳にはちみつをあげてもいいですか?
A. 1歳未満の乳児には与えないでください。厚生労働省は、1歳未満の赤ちゃんがハチミツを食べることで乳児ボツリヌス症にかかることがあるとして注意を呼びかけています。はちみつの咳への働きについては、この記事では扱いません。
まとめ:「季節の市販薬」4回で伝えたかった箱の見方
大人用の咳止めを子どもに半分。その答えは量の計算ではなく、箱の3か所にあります。
- 用法・用量:お子さんの年齢の行があるか。「〇歳未満:服用しないでください」の一行
- してはいけないこと:「12歳未満の小児」などの年齢、ほかのかぜ薬・せき止めとの重なり、運転操作
- 成分:「コデイン」の4文字を含む成分名
春の花粉症、夏の虫刺され、秋の頭痛、そして冬のせき止め。季節の市販薬シリーズの4回を通して、見る場所は大きくは変わりませんでした。年齢の欄、「してはいけないこと」、成分の欄。商品名や「なんとなく強そう」という印象ではなく、箱に書かれた言葉で決める、という見方です。
息が苦しそう、ゼーゼーしている、ぐったりしている、生後3か月未満。こうした様子に当てはまるときは、箱を読む前に「こどもの救急」でチェックするか、#8000に電話で相談してください。迷ったら、家にある薬を箱ごと持って、薬剤師・登録販売者・小児科に聞いてください。
この記事を書いた人
とりじん。登録販売者。市販薬の記事は、商品名ではなく成分名・分類で、PMDAに掲載された添付文書と、厚生労働省・学会・自治体の一般向けページの記載をもとに書いています。お子さんに飲ませてよいか、飲み合わせの判断は、小児科の医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
数字の根拠
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(ジヒドロコデインリン酸塩を含む鎮咳去痰薬、2026年10月19日確認)… 12歳未満の小児は服用しない、大人(15歳以上)・12〜14歳の年齢区分、成分9種類、呼吸抑制、運転操作、授乳、相談すること、5〜6回、指定第2類医薬品 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物を含む小児用鎮咳去痰薬、2026年10月19日確認)… 3カ月未満は服用しない、5才以上8才未満〜3カ月以上1才未満の年齢区分、2才未満は医師の診療を優先、運転操作、5〜6回、第2類医薬品 ページを開く
- 厚生労働省「コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩又はトラマドール塩酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)」令和元年7月9日(2026年10月19日確認)… 12歳未満の小児を禁忌、呼吸抑制発生リスクの低減のための予防的措置 ページを開く
- PMDA 使用上の注意の改訂指示 別紙11(かぜ薬、鎮咳去痰薬/コデイン類を含む一般用医薬品)(2026年10月19日確認)… 「してはいけないこと」に12歳未満の小児を新設、最小年齢が13歳以上の場合の置き換え ページを開く
- 東京都保健医療局「親子のためのくすりとくらしのガイド」くすりについて知ってほしいこと(2026年10月19日確認) ページを開く
- 日本呼吸器学会「呼吸器Q&A」Q1 からせき(たんのないせき)が3週間以上続きます。(2026年10月19日確認)… 3週間、3日以内 ページを開く
- 日本呼吸器学会「呼吸器Q&A」Q3 夜間や早朝にせきが出ます。(2026年10月19日確認) ページを開く
- 日本小児科学会「こどもの救急(ONLINE-QQ)」せき・ゼェゼェする(2026年10月19日確認)… 生後3か月未満 ページを開く
- 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」(2026年10月19日確認)… 1歳未満 ページを開く
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」(2026年10月19日確認)… 平成22年7月5日から全国で実施 ページを開く
- e-Gov法令検索「道路交通法」第66条(令和8年7月21日施行の版、2026年10月19日確認) ページを開く
- 厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」(2026年10月19日確認)… 第1類は薬剤師による情報提供が義務、第2類・第3類は登録販売者からも購入可能 ページを開く
※引用元は、PMDAに掲載された添付文書の一例です。特定の製品をすすめるものではありません。
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