毎年の花粉の時期、飲み薬だけでは目のかゆみと夕方の鼻づまりが残ってしまう。それなら点鼻薬と目薬も足したい。でも、花粉症の市販薬を3つも併用していいのか、箱を見てもよく分からない。そんなふうに売り場で手が止まった経験はありませんか?

先に答えを書くと、飲み薬・点鼻薬・目薬を重ねる前にやることは「箱(と中の説明書)を並べて、同じ働きの成分が重なっていないかを確かめる」ことです。見る場所は、成分の欄と「してはいけないこと」「相談すること」の3か所。1つでも迷ったら、箱を持って薬剤師・登録販売者に聞くのがいちばん確実な方法です。

この記事は、季節ごとの市販薬の確かめ方をまとめるシリーズ「季節の市販薬」の1本目、春・花粉症編。登録販売者として、商品名ではなく成分名と分類で書いていきます。

※この記事は、市販薬の箱や添付文書の読み方をまとめた一般的な確認の手順です。個別の飲み合わせや量の判断は、薬剤師・登録販売者・医師に相談してください。

Contents
  1. 花粉症の市販薬の併用は「同じ働きが重なっていないか」を箱で見てから
  2. 飲み薬は全身、点鼻薬は鼻、目薬は目:3つの薬の「持ち場」
  3. 箱と添付文書で見るのは「成分」「してはいけないこと」「相談すること」の3か所
  4. 飲み薬は2種類重ねない:かぜ薬・鼻炎薬・乗物酔い薬にも抗ヒスタミン成分
  5. 「眠くなりにくい」と「運転してよい」は別:箱の「乗物又は機械類の運転操作」の一文を探す
  6. 鼻づまり用の成分が入った飲み薬は、高血圧・糖尿病・心臓病の人は箱を必ず確認
  7. 点鼻薬は2タイプ:血管収縮成分入りとステロイド成分入り
  8. 点鼻薬を使いすぎると逆に鼻づまり?血管収縮成分の「過度に使用」の注意
  9. ステロイド成分の点鼻薬は「1年間に3ヵ月」まで・18歳未満は使わない
  10. 目薬は「コンタクト」「成分」「充血をとる成分」の3点を箱で確認
  11. 3つ重ねる前の確認手順:箱を並べて、同じ成分・同じ働きに印をつける
  12. 市販薬で様子を見ずに相談・受診する目安
  13. よくある質問
  14. まとめ:重ねる前に、箱を並べて同じ働きを探す

花粉症の市販薬の併用は「同じ働きが重なっていないか」を箱で見てから

花粉症の市販薬を併用するときの考え方は、シンプルにまとめると次の3つです。

  • 飲み薬は2種類重ねない:花粉症の飲み薬の「してはいけないこと」には、ほかのアレルギー用薬や抗ヒスタミン成分を含む飲み薬を一緒に使わないよう書かれています
  • 点鼻薬・目薬は「足す前に成分と回数」:飲み薬とは形が違っても、同じ系統の成分が入っていることがあります。使える回数や期間の上限も箱に書かれています
  • 迷ったら箱ごと相談:自分で「これなら平気」と決めずに、使っている箱と足したい箱を見せて聞く

「点鼻薬や目薬は飲み薬とは別物だから、何でも足していい」とは言い切れないのがポイント。たとえば今回確認したアレルギー用の目薬の説明書には、点鼻薬と一緒に使ったときの運転についての注意まで書かれていました(詳しくは後半の目薬の見出しで)。

同じように迷っている人は、実はかなり多いはずです。厚生労働省の資料「花粉症対策(厚生労働省)」(内閣官房 花粉症に関する関係閣僚会議 第1回 資料2)によると、関係学会の調査で、2019年時点の有病率は花粉症全体で42.5%、スギ花粉症で38.8%。およそ4割の人が花粉症という計算です。

花粉症の有病率の移り変わり花粉症全体スギ花粉症1998年19.6%16.2%2008年29.8%26.5%2019年42.5%38.8%
出典:厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課「花粉症対策(厚生労働省)」(内閣官房 花粉症に関する関係閣僚会議 第1回 資料2)の図「鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較)」。対象は全国の耳鼻咽喉科医とその家族(解析対象19,859名)で、日本人全体を無作為に調べた数字ではありません。

同じ資料の図では、スギ花粉症の有病率は1998年の16.2%から2008年の26.5%、2019年の38.8%へと上がっています。ただしこの調査の対象は全国の耳鼻咽喉科医とその家族(解析対象19,859名)で、日本人全体を無作為に調べた数字ではない点は押さえておきたいところです。

飲み薬は全身、点鼻薬は鼻、目薬は目:3つの薬の「持ち場」

重なりを見つけるには、まずそれぞれの薬がどこを受け持っているかを整理しておくと楽です。飲み薬は体の中に入って全身に届き、点鼻薬は鼻の中、目薬は目に直接使うもの。形も届く範囲も違います。

種類 届く範囲 成分欄でよく見かける分類(例)
飲み薬(鼻炎用内服薬) 全身 抗ヒスタミン成分(フェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジン、エピナスチン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩など)、鼻づまり用の成分(プソイドエフェドリン塩酸塩など)
点鼻薬(鼻炎用点鼻薬) 鼻の中 血管収縮成分(ナファゾリン塩酸塩など)、抗ヒスタミン成分、ステロイド成分(ベクロメタゾンプロピオン酸エステルなど)
目薬(点眼薬) 目 抗アレルギー成分(クロモグリク酸ナトリウムなど)、抗ヒスタミン成分、充血をとる目的の成分(テトラヒドロゾリン塩酸塩など)

表の成分は、この記事を書くために確認した添付文書に実際に載っていたものの一例です。注目してほしいのは、抗ヒスタミン成分が3つの列すべてに出てくること。たとえばクロルフェニラミンマレイン酸塩は、今回確認した鼻炎用の飲み薬・点鼻薬・目薬のどれにも配合されていました。

抗ヒスタミン成分は、くしゃみや鼻水、かゆみのもとになる物質(ヒスタミン)の働きを抑える成分。仕組みはこれで十分で、覚えておきたいのは「同じ系統の成分が別々の箱に入っていることがある」という一点です。

シートに入った色とりどりの錠剤

箱と添付文書で見るのは「成分」「してはいけないこと」「相談すること」の3か所

市販薬の箱や中に入っている説明書(添付文書)には、たくさんの情報が書かれています。併用を考えるときに見るのは、次の3か所に絞れば足ります。

  1. 成分(成分・分量):何が入っているか。成分名で、ほかの箱と同じものがないかを見る
  2. してはいけないこと:使ってはいけない人、一緒に使ってはいけない薬、運転の注意など。ここに書かれていることは守る前提
  3. 相談すること:使う前に医師・薬剤師・登録販売者に相談すべき人や、使ったあと様子を見るべき症状。持病や妊娠中の人は特にここを読む

説明書をなくしてしまった場合も、読む方法はあります。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「一般用医薬品・要指導医薬品 情報検索」で、販売名や成分名から添付文書の内容を読めます。この記事の引用も、すべてここに掲載された添付文書から写したもの。

成分欄を見るという考え方は、別の季節の病気でも同じです。インフルエンザかもと思ったときの市販薬の選び方は箱の成分欄を見るポイントをまとめたこちらの記事で解説しているので、冬の前に一度目を通してみてください。

YU人
YU人
花粉症の薬を飲んでるけど、かぜっぽいからかぜ薬も飲んでいい?
とりじん
とりじん
どちらの箱にも抗ヒスタミン成分が入っていることがあるんだ。まず両方の成分欄と「してはいけないこと」を見てみよう

飲み薬は2種類重ねない:かぜ薬・鼻炎薬・乗物酔い薬にも抗ヒスタミン成分

花粉症の飲み薬を飲んでいる間に、別の飲み薬を足したくなる場面は意外と多いもの。かぜ気味のとき、せきが出るとき、旅行で乗物酔いが心配なとき。ここで見るべきは「してはいけないこと」の欄です。

フェキソフェナジン塩酸塩を含む鼻炎用内服薬の添付文書(PMDA掲載)には、こう書かれています。

本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も使用しないでください。
他のアレルギー用薬(皮ふ疾患用薬,鼻炎用内服薬を含む),抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(かぜ薬,鎮咳去痰薬,乗物酔い薬,催眠鎮静薬等),水酸化アルミニウム・水酸化マグネシウム含有製剤(制酸剤),エリスロマイシン(抗生物質),アパルタミド(前立腺がん治療剤)

かぜ薬、せき止め(鎮咳去痰薬)、乗物酔い薬、催眠鎮静薬。名前は花粉症と関係なさそうでも、抗ヒスタミン成分が入っていることがあるため、併用しない薬として名前が挙がっています。エピナスチン塩酸塩やロラタジンを含む鼻炎用内服薬の添付文書にも、ほかのアレルギー用薬や抗ヒスタミン剤を含む内服薬を使わないよう、同じ趣旨の記載がありました。

鼻づまり用の成分なども入った、いわゆる複数の成分を組み合わせた鼻炎薬(クロルフェニラミンマレイン酸塩・プソイドエフェドリン塩酸塩などを配合)では、こう書かれています。

本剤を服用している間は,次のいずれの医薬品も使用しないこと
他の鼻炎用内服薬,抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等(かぜ薬,鎮咳去痰薬,乗物酔い薬,アレルギー用薬等),胃腸鎮痛鎮痙薬

つまり、花粉症の飲み薬は「ほかの飲み薬と重ねるときがいちばん注意が必要」ということ。制酸剤や胃腸の薬、抗生物質のように、成分によって名前が挙がる薬も違います。処方薬を飲んでいる人は、その薬が何に当たるのか自分で判断せず、お薬手帳と一緒に相談してください。

YU人
YU人
「眠くなりにくい」って書いてあれば、飲んで運転しても平気だよね?
とりじん
とりじん
それは別の話!箱の「してはいけないこと」に運転の一文があるかどうかを探してみよう

「眠くなりにくい」と「運転してよい」は別:箱の「乗物又は機械類の運転操作」の一文を探す

車通勤の人にとって、いちばん気になるのは、運転との関係のはず。花粉症の市販薬で運転について確かめる場所は、「してはいけないこと」の中の「乗物又は機械類の運転操作」という言葉が入った一文です。

今回PMDAで確認した鼻炎用内服薬では、成分によって書き方がはっきり分かれていました。

成分(確認した添付文書) 「してはいけないこと」の運転の一文 「相談すること」の眠気
フェキソフェナジン塩酸塩 記載なし あり
ロラタジン 記載なし あり
エピナスチン塩酸塩 あり あり
クロルフェニラミンマレイン酸塩・プソイドエフェドリン塩酸塩などの配合薬 あり あり

エピナスチン塩酸塩を含む鼻炎用内服薬の「してはいけないこと」には、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。(眠気等があらわれることがあります。)」と書かれています。配合薬のほうは「服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないこと(眠気や目のかすみ,異常なまぶしさ等の症状があらわれることがある。)」という書き方でした。

同じように「眠くなりにくい」と紹介されがちな成分どうしでも、運転の扱いは成分ごとに違うわけです。確かめる先は、売り場のポップや宣伝の言葉ではなく、箱の「してはいけないこと」です。

では、運転の一文がない成分なら何も気にしなくていいのか。そうとも言えません。フェキソフェナジン塩酸塩やロラタジンの添付文書でも、「相談すること」の欄に、症状が続いたり強くなったりしたら服用をやめて相談する症状として「眠気」が挙がっています。初めて飲む薬は、休日など運転の予定がない日に一度飲んで、自分の体の様子を確かめてからにしましょう。

法律の面では、道路交通法第66条(過労運転等の禁止)に「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と定められています(e-Gov法令検索で2026年10月19日確認)。眠気やぼんやりした感じがあるときはハンドルを握らない、というのが基本です。

鼻づまり用の成分が入った飲み薬は、高血圧・糖尿病・心臓病の人は箱を必ず確認

鼻づまりがつらいと、鼻づまり用の成分まで入った飲み薬を選びたくなります。ただ、このタイプは「使ってはいけない人」の範囲が広めです。今回確認した、クロルフェニラミンマレイン酸塩・プソイドエフェドリン塩酸塩などを含む鼻炎用内服薬の「してはいけないこと」は、次のとおりです。

次の人は服用しないこと
(1)本剤又は本剤の成分によりアレルギー症状を起こしたことがある人。
(2)次の症状のある人。
前立腺肥大による排尿困難
(3)次の診断を受けた人。
高血圧,心臓病,甲状腺機能障害,糖尿病

同じ欄には「長期連用しないこと」という一文もあります。さらに「相談すること」には、緑内障や腎臓病と診断された人、授乳中の人、高齢者なども挙がっていました。

持病がある人は、「去年も飲んだから」ではなく、買う前に箱の裏で自分が当てはまらないかを確かめるのが先。当てはまる、あるいは自分の病名が書いてあるか分からないときは、購入前に薬剤師・登録販売者に相談するのが確実です。

ティッシュで鼻を押さえる女性

点鼻薬は2タイプ:血管収縮成分入りとステロイド成分入り

続いて点鼻薬。花粉の時期の売り場で見かける点鼻薬は、成分欄で見ると大きく2つのタイプに分けられます。今回確認した添付文書の内容を並べると、次のとおりです。

タイプ(確認した成分) 箱に書かれた回数・間隔 期間についての記載 使えない人の例
血管収縮成分入り(ナファゾリン塩酸塩+クロルフェニラミンマレイン酸塩) 1日6回を限度、間隔は3時間以上 長期連用しない/3日間位使ってもよくならなければ中止して相談 7歳未満(用法・用量の欄)
ステロイド成分入り(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、季節性アレルギー専用) 1日2回(朝・夕)、最大4回まで、間隔は3時間以上 他のステロイド点鼻薬と合わせて1年間に3ヵ月を超えない/1週間位でよくならなければ中止して相談 18歳未満、妊婦、高血圧・糖尿病・緑内障などの診断を受けた人

この表は、どちらが優れているかを比べるためのものではありません。同じ点鼻薬でも、守るべき回数・期間・使えない人がタイプごとに違うことを知っておくための表です。また、製品によって回数や年齢の決まりは違うので、実際に使うときは手元の箱の「用法・用量」が基準になります。

点鼻薬は鼻にだけ使う薬ですが、今回確認した血管収縮成分入りの点鼻薬にも、抗ヒスタミン成分のクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されていました。飲み薬と重なる系統の成分が入っていることがあるので、ここでも成分欄のチェックは欠かせません。

点鼻薬を使いすぎると逆に鼻づまり?血管収縮成分の「過度に使用」の注意

「点鼻薬を使い続けていたら、かえって鼻がつまるようになった」。こうした声は、市販の点鼻薬の使いすぎを調べるとよく見かけます。これについては、血管収縮成分(ナファゾリン塩酸塩)入りの点鼻薬の添付文書に、はっきり書かれています。

(2)過度に使用しますと,かえって鼻づまりを起こすことがあります。

同じ添付文書では、使い方について次のように決められています。

  • 大人(15歳以上)は1日6回を限度として、適用間隔は3時間以上おく
  • 「してはいけないこと」に「長期連用しないでください」
  • 「3日間位使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し」、説明書を持って医師・薬剤師・登録販売者に相談する

使った直後に鼻が通るとつい回数が増えがちですが、この種類の点鼻薬は「つらいときに、決められた回数の範囲で、短い期間」使う前提で書かれています。数日使ってもすっきりしないなら、回数を増やす方向ではなく、相談する方向に切り替えるタイミングです。

YU人
YU人
点鼻薬、使うとすぐ鼻が通るから、1日に何回も使っちゃうんだよね…
とりじん
とりじん
箱に回数の上限と間隔が書いてあるよ。3日くらい使っても良くならなければ、使うのをやめて相談しよう

ステロイド成分の点鼻薬は「1年間に3ヵ月」まで・18歳未満は使わない

ステロイド成分(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)入りの点鼻薬は、期間の決まりがとても具体的です。今回確認した季節性アレルギー専用の製品の添付文書には、こうあります。

本剤は他のステロイド点鼻薬の使用期間も合わせて,1年間に3ヵ月を超えて使用しないでください(3ヵ月を超えた使用が必要な場合には,他の疾患の可能性がありますので耳鼻咽喉科専門医に相談してください)

大事なのは「他のステロイド点鼻薬の使用期間も合わせて」という部分。別の製品に買い替えても、期間はリセットされません。さらに「してはいけないこと」には、使ってはいけない人として次のような項目が並んでいました。

  • 18歳未満の人
  • 妊婦又は妊娠していると思われる人
  • 全身の真菌症、結核性疾患、高血圧、糖尿病、反復性鼻出血、ぜんそく、緑内障、感染症の診断を受けた人
  • ステロイド点鼻薬を過去1年間のうち3ヵ月以上使用した人

また、「相談すること」には「1週間位(1日最大4回(8噴霧まで))使用しても症状の改善がみられない場合は使用を中止し」相談する、という目安もあります。花粉の時期は地域や年によって長さが違うので、「シーズン中ずっと使えばいい」と考えず、使い始めた日をメモしておくと期間を数えやすくなります。

目薬は「コンタクト」「成分」「充血をとる成分」の3点を箱で確認

飲み薬だけでは目のかゆみが残る。そんなときに足したくなるのが目薬です。目薬で確かめたいのは、次の3つ。

1. コンタクトレンズをつけたまま使えるか

今回PMDAで確認したアレルギー用点眼薬(クロモグリク酸ナトリウム・クロルフェニラミンマレイン酸塩などを配合)の「用法関連注意」には、「コンタクトレンズを装着したまま使用しないでください。」と書かれていました。疲れ目などに使う一般点眼薬の中にも「ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用しないでください。」と書かれたものがあります。コンタクトを使っている人は、箱の「用法・用量」の近くにある注意書きもお忘れなく。

2. 抗ヒスタミン成分が入っているか、点鼻薬と一緒に使うか

ここが、3つを重ねるときにいちばん見落としやすいポイントです。先ほどのアレルギー用点眼薬の「してはいけないこと」には、次の一文がありました。

2.点鼻薬と併用する場合には,使用後,乗物又は機械類の運転操作をしないでください
(眠気等があらわれることがあります)

目薬単体の話ではなく、点鼻薬と一緒に使ったときの運転について書かれているわけです。飲み薬・点鼻薬・目薬の3つを重ねる人は、目薬の箱のこの欄も読み飛ばさないでください。なお、同じ点眼薬の「相談すること」には、「2日間位使用しても症状がよくならない場合」は使用を中止して相談すること、症状がよくなっても2週間を超えて使う場合は相談すること、とも書かれていました。

3. 充血をとる目的の成分が入っているか

疲れ目向けの一般点眼薬の中には、テトラヒドロゾリン塩酸塩のような、充血をとる目的の成分が入ったものがあります。今回確認した製品の「用法関連注意」には、「過度に使用すると,異常なまぶしさを感じたりかえって充血を招くことがありますので用法・用量を厳守してください。」とありました。かゆみが気になって何度もさしたくなる時期こそ、回数の上限を守ることが大事です。

また、確認したアレルギー用点眼薬・一般点眼薬のどちらも、「相談すること」に緑内障の診断を受けた人や、はげしい目の痛みがある人が挙がっていました。アレルギー用点眼薬には「片方の目だけに症状がある場合」や「目の症状のみで、鼻には症状がみられない場合」はアレルギーによるものとは断定できないため使用前に医師に相談する、という記載もあります。

花粉の時期に限らず、目の乾きやしょぼしょぼ感に悩んでいる人は、暖房の季節に朝起きると目が乾く原因と対策も参考になるはずです。

青い瞳の目元のアップ
YU人
YU人
薬の売り場で聞きたいけど、何て聞けばいいのか分からないんだよね
とりじん
とりじん
「今これを使っていて、これを足したい」と箱を見せて聞けば十分だよ。持病や運転の予定も一言添えてね

3つ重ねる前の確認手順:箱を並べて、同じ成分・同じ働きに印をつける

ここまでの内容を、実際に家や売り場でやる手順にまとめます。所要時間は数分。飲み薬・点鼻薬・目薬を重ねる前に、一度だけで構いません。

  1. 使っている箱・使いたい箱を全部並べる
    花粉症の薬だけでなく、かぜ薬、せき止め、胃腸薬、乗物酔い薬、病院でもらった薬(お薬手帳)も並べます
  2. 成分欄で、同じ成分名・同じ分類に印をつける
    「〜ヒスタミン」「〜マレイン酸塩」など、同じ名前が別の箱にもないかを探します
  3. 「してはいけないこと」で、併用しない薬に当たらないか見る
    飲み薬の箱に「他のアレルギー用薬」「抗ヒスタミン剤を含有する内服薬等」とあれば、ほかの飲み薬と重ねない前提です
  4. 運転・持病・妊娠授乳・年齢の欄を見る
    「乗物又は機械類の運転操作」の一文、使えない人の病名、年齢の決まりを、3つの箱すべてで確認します
  5. 1つでも迷ったら、箱(またはお薬手帳)を持って相談する
    薬剤師・登録販売者に、今使っているもの・足したいもの・持病・運転の予定を伝えます

この手順は「この組み合わせなら問題ない」と自分で決めるためのものではありません。自分で分かる重なりを先に見つけ、分からないところを相談で埋めるための下準備です。箱を並べてみるだけで、相談するときに伝えることもはっきりします。

量を減らして重ねる、時間をずらすといった調整も自己判断ではしないこと。用法・用量は箱のとおりに守り、それで足りないと感じたときが相談のタイミングです。

市販薬で様子を見ずに相談・受診する目安

市販薬はあくまで、症状を一時的にやわらげるための選択肢です。次のような場合は、市販薬を足して様子を見るより、医療機関や薬剤師・登録販売者への相談を優先してください。

  • 添付文書に書かれた日数を過ぎても良くならない:今回確認した添付文書では、鼻炎用内服薬で「1週間」「5〜6日間」、血管収縮成分入りの点鼻薬で「3日間位」、ステロイド成分入りの点鼻薬で「1週間位」、アレルギー用点眼薬で「2日間位」という目安が書かれていました。手元の箱の日数を確かめてください
  • 症状が重い、長引く、片側だけ:鼻づまりが続く、片方の鼻や目だけに症状がある、といった場合はアレルギー以外の原因のこともあります
  • 熱がある、黄色や緑色の鼻水、顔や額の痛み:ステロイド点鼻薬の添付文書でも、頭や額、頬の痛みと黄色や緑色の鼻汁がある人(感染性副鼻腔炎)は使用前に相談するよう書かれています。色のついた鼻水が気になる人は、蓄膿症(副鼻腔炎)について解説した記事もあわせてどうぞ
  • 目の痛みが強い、見えにくい:はげしい目の痛みや視力への影響があるときは、目薬を足す前に眼科へ
  • 妊娠中・授乳中:使えない成分や、授乳を避けるよう書かれた成分があります
  • 子ども:年齢の決まりは製品ごとに違います。大人の薬を減らして飲ませるのではなく、箱の「用法・用量」の年齢を見て、分からなければ相談を
  • 持病がある、病院の薬を飲んでいる:高血圧、糖尿病、心臓病、緑内障、前立腺肥大などは、成分によって使えない、または相談が必要と書かれています

相談先は、鼻の症状なら耳鼻咽喉科、目の症状なら眼科、持病がある人はかかりつけ医が基本。受診する時間がとりにくいときは、まず薬局やドラッグストアの薬剤師・登録販売者に、今の症状と使っている薬を伝えるところから始めましょう。

よくある質問

Q1. 花粉症の飲み薬と目薬は一緒に使えますか?

A. 飲み薬と目薬は形が違いますが、どちらにも抗ヒスタミン成分が入っていることがあります。それぞれの箱の成分欄と「してはいけないこと」「相談すること」を確認し、判断に迷う場合は箱を持って薬剤師・登録販売者に相談してください。点鼻薬も一緒に使う場合は、目薬の箱に運転についての注意が書かれていることもあります。

Q2. 眠くなりにくいと書かれた薬なら、飲んで運転してもいいですか?

A. 眠くなりにくいかどうかと、運転してよいかどうかは別の問題です。箱の「してはいけないこと」に「乗物又は機械類の運転操作をしないでください」という一文があるかは、成分によって違います。一文がない成分でも「相談すること」に眠気が挙がっているため、初めて飲む日は運転の予定がない日に様子を見て、眠気があるときは運転しないでください。

Q3. 点鼻薬は毎日使ってもいいですか?

A. 点鼻薬は種類によって回数や期間の決まりが違います。今回確認した血管収縮成分入りの点鼻薬は1日6回を限度に3時間以上あけ、長期連用しないこと、ステロイド成分入りの点鼻薬は他のステロイド点鼻薬と合わせて1年間に3ヵ月を超えないことと書かれていました。手元の箱の「用法・用量」と「してはいけないこと」を確認してください。

Q4. 去年の残りの花粉症の薬を使ってもいいですか?

A. まず箱や容器に書かれた使用期限を確認し、期限を過ぎたものは使わないでください。目薬や点鼻薬は、期限内でも開封後はなるべく早く使うよう書かれていることがあります。去年と今年で持病や飲んでいる薬が変わった場合は、あらためて「してはいけないこと」も読み直してください。

Q5. 子どもに大人用の花粉症の薬を減らして飲ませてもいいですか?

A. 大人用の薬を自己判断で減らして子どもに使うのはやめてください。使える年齢と量は製品ごとに箱の「用法・用量」に書かれており、15歳未満は服用しないと書かれた飲み薬もあります。子ども向けに使える薬は、年齢と症状を伝えて薬剤師・登録販売者や医師に相談してください。

まとめ:重ねる前に、箱を並べて同じ働きを探す

花粉症の市販薬で飲み薬・点鼻薬・目薬を併用するときのポイントを、3行でまとめます。

  • 飲み薬は2種類重ねない。かぜ薬・せき止め・乗物酔い薬にも抗ヒスタミン成分が入っていることがある
  • 運転は「眠くなりにくい」ではなく、箱の「乗物又は機械類の運転操作」の一文で確かめる。点鼻薬と目薬の組み合わせにも注意書きがある
  • 点鼻薬・目薬は回数と期間の上限を守り、決められた日数で良くならなければ相談・受診する

箱を並べて同じ成分に印をつけ、迷ったところは薬剤師・登録販売者に聞く。この順番さえ覚えておけば、毎年の売り場で立ち止まる時間はぐっと短くなります。そもそも花粉がどんなものかを知っておきたい人は、花粉の基本をまとめた記事で確かめられます。

この記事を書いた人

とりじん。登録販売者。市販薬の記事は、商品名ではなく成分名・分類で、PMDAに掲載された添付文書の記載をもとに書いています。個別の飲み合わせや量の判断は、薬剤師・登録販売者・医師に相談してください。

数字の根拠

※引用元は、PMDAに掲載された添付文書の一例です。特定の製品をすすめるものではありません。

登録販売者が書く「季節の市販薬」シリーズ(全4回)

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