【虫刺され薬 子供用と大人用の違い】箱で見るのは成分と塗る場所
夏の虫刺されの記事ですが、10月の今もまだ蚊やブヨはいます。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでも、ブユ(ブヨ)はキャンプやハイキングなど野外レジャーの際に刺されると説明されています。秋の公園やキャンプのあと、子どもの腕や顔がぷっくり腫れて、救急箱にあるのは大人が使っているステロイド入りのかゆみ止めだけ。「虫刺され薬の子供用と大人用の違いって何?これを子どもに塗っていいの?」と、夜にスマホで調べている方も多いのではないでしょうか。
先に答えを書くと、箱で見るところは「成分」「塗る場所」「日数」の3つです。今回、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に掲載された市販の虫刺され・かゆみ止めの添付文書を読み比べたところ、年齢で線を引くよりも、塗ってはいけない場所と、使う日数の目安で線を引いた書き方になっていました。迷ったときは、箱ごと持って薬剤師・登録販売者に相談するのがいちばん確実です。
この記事は、季節ごとの市販薬の確かめ方をまとめるシリーズ「季節の市販薬」の2本目。春の花粉症の飲み薬・点鼻薬・目薬の回に続いて、今回は夏の塗り薬(虫刺され・あせも・かぶれ)を扱います。書き手は登録販売者のとりじん。商品名ではなく、成分名と分類で書いていきます。
※この記事は、市販薬の箱や添付文書の読み方をまとめた一般的な確認の手順です。お子さんの年齢・症状に合うかどうかの判断は、薬剤師・登録販売者・医師に相談してください。
- 結論:虫刺され薬の子供用と大人用の違いは、年齢だけでなく成分と塗る場所で見る
- 線1:箱の「成分」欄で見る3つ(ステロイドの有無・成分名・濃度)
- ステロイドの強さは5段階:成分名から当てはめる早見表
- 「子ども用」と書かれた虫刺され薬は何が違う?
- 大人用を子どもに塗っていい?添付文書と学会はこう書いている
- 線2:顔・まぶた・口のまわりは別のルール
- かき壊してじゅくじゅく・化膿していたら塗らない
- 塗る量と回数は箱の用法どおり:量の目安は人差し指の関節ひとつ分
- 線3:何日まで塗る?「5〜6日で良くならなければ中止」の読み方
- あせも・かぶれにも同じ薬を使っていい?効能欄で確かめる
- 塗る前と一緒にできること:爪を短く、かかせない工夫
- 薬剤師・登録販売者への相談と、皮膚科・小児科の受診の目安
- よくある質問
- まとめ:箱で見るのは成分と塗る場所、それと日数
結論:虫刺され薬の子供用と大人用の違いは、年齢だけでなく成分と塗る場所で見る
虫刺され薬の「子供用」「大人用」は、名前から年齢の区分に見えます。ところが添付文書を読むと、線の引き方は少し違いました。見るべき線は次の3本、それに受診の線を足した4本です。
| 線 | 箱・添付文書のどこを見るか | 書かれていること(今回確認した例) |
|---|---|---|
| 線1:成分 | 成分・分量 | ステロイド成分が入っているか、入っているなら名前と濃度 |
| 線2:塗る場所 | してはいけないこと | 「化膿している患部」や「目の周囲」には使用しない、「顔面には,広範囲に使用しないでください」 |
| 線3:日数 | 相談すること | 「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し」、医師・薬剤師・登録販売者に相談 |
| 受診の線 | 記事後半のチェックリスト | 化膿・広い範囲・ハチのあとの全身症状など |
今回確認したステロイド入りの3件(液体1件・クリーム1件・軟膏1件)は、どれも小児について「保護者の指導監督のもとに使用させてください」と書かれていました。年齢で「◯歳未満は使用しない」とする書き方は、この3件にはありません。
一方、子ども向けをうたう製品を1件確認すると、ステロイド成分もメントールも入っておらず、「使用開始目安年齢は生後3カ月以上」と書かれていました。つまり「子供用」と「大人用」の差は、まず中身の成分に出ている。そう読むのが、箱の書き方に沿った見方です。ただし、これは「大人用を子どもにどんどん塗ってよい」という意味ではありません。そこは後半の見出しで、添付文書と学会の書き方を並べて確かめます。
線1:箱の「成分」欄で見る3つ(ステロイドの有無・成分名・濃度)
成分欄で見るのは、次の3つです。
- ステロイド成分が入っているか:添付文書の「製品の特徴」に、配合しているステロイド成分の名前が書かれていることが多いです。入っていない製品には「ステロイド成分は配合されていません」と書かれた例もありました
- ステロイド成分の名前:名前で、次の見出しで紹介する学会の強さの表と照らし合わせます
- 濃度:「100g中0.12g」のような書き方なら0.12%。同じ成分でも濃度が違えば、表にそのまま当てはめられません
虫刺され・かゆみ止めの塗り薬には、ステロイド以外の成分もいくつか入っています。添付文書の「製品の特徴」欄には、それぞれ次のように書かれていました。
| 成分(例) | 添付文書での説明 |
|---|---|
| ジフェンヒドラミン塩酸塩 | 虫さされやしっしん等のかゆみを抑える |
| クロタミトン、ジブカイン塩酸塩 | ジフェンヒドラミン塩酸塩と合わせた3種類の成分で、かゆみを抑える |
| l-メントール、dl-カンフル | 強い清涼感がかゆみをしずめる |
| イソプロピルメチルフェノール | 患部を殺菌する |
| グリチルレチン酸 | かぶれ等の炎症をしずめる |
ここで覚えておきたいのは、メントールやカンフルの「スーッとする」成分です。小さい子は塗ったあとに目をこすりがち。見比べた添付文書はどれも、「目に入らないように注意してください」と書いていました。
飲み薬の箱でも、まず成分欄から確かめるのは同じです。インフルエンザかもしれない夜に、かぜ薬の箱の成分欄を読む記事でも、この読み方を使っています。

ステロイドの強さは5段階:成分名から当てはめる早見表
日本皮膚科学会の皮膚科Q&A(アトピー性皮膚炎のページ)によると、ステロイド外用薬の強さは、効果をもとにした5段階。同じページでは、効果の高さと副作用の起こりやすさは一般的に並行するので、必要以上に強いものを使わず、症状の重さに見合ったものを選ぶことが大切、と説明されています。
下の表は、学会のランク表から、成分名と濃度をいくつか抜き出したものです。
| ランク(強い順) | 学会の表に載っている成分と濃度(一部) |
|---|---|
| ストロンゲスト(I群) | (この記事では省略) |
| ベリーストロング(II群) | (この記事では省略) |
| ストロング(III群) | 0.12% ベタメタゾン吉草酸エステル/0.025% フルオシノロンアセトニド |
| ミディアム(IV群) | 0.3% 吉草酸酢酸プレドニゾロン/0.1% ヒドロコルチゾン酪酸エステル/0.05% クロベタゾン酪酸エステル |
| ウイーク(V群) | 0.5% プレドニゾロン |
使い方は、箱の成分名と濃度が表と両方とも一致したときだけ当てはめる、というルールです。たとえば先ほどの軟膏の1件は「100g中 ベタメタゾン吉草酸エステル0.12g」で、表のストロング(III群)の成分・濃度と一致していました。
反対に、液体とクリームに入っていた「デキサメタゾン酢酸エステル」は、学会の表には載っていません。表には「デキサメタゾン吉草酸エステル」や「デキサメタゾン」という似た名前がありますが、名前の後ろの部分や濃度が違うものを、似ているからと同じランクに当てはめることはできません。
表に載っていない成分の強さを、箱だけで判断するのは難しいところ。気になるときは、その箱を薬剤師・登録販売者に見せて「子どもの腕に使いたい」「顔に使いたい」と、使いたい場所まで伝えると話が早く進みます。
「子ども用」と書かれた虫刺され薬は何が違う?
子ども向けをうたう液体のかゆみ止めを、PMDAで1件確認しました。中身はこうなっています。
- 成分:100g中、ジフェンヒドラミン塩酸塩2g、パンテノール1g。ステロイド成分は入っていない
- スーッとする成分:「アルコールやメントール」を配合していない、と製品の特徴に書かれている
- 年齢:「本剤の使用開始目安年齢は生後3カ月以上です」
- リスク区分:第3類医薬品(ステロイド入りの3件は、いずれも第「2」類医薬品)
確認できたのは1件だけなので、すべての子ども向け製品が同じとは限りません。それでも、子ども向けの製品は「ステロイドを入れない」「刺激になりやすい成分を抜く」「使い始めの目安の月齢を書く」という作り方をしているものがある、とは言えます。
なお、ステロイドの入っていない大人向けの塗り薬にも、メントールやカンフルが入っているものがありました。ステロイドの有無だけでなく、スーッとする成分の有無も成分欄で見ておくと、小さい子に使う薬を選ぶときの手がかりになります。
大人用を子どもに塗っていい?添付文書と学会はこう書いている
ここは、情報によって書き方が分かれるところです。両方の立場を並べます。
添付文書の書き方:ステロイド入りの3件は、用法に関する注意で「小児に使用させる場合には,保護者の指導監督のもとに使用させてください」と書いていました。年齢による使用制限の記載はありません。あわせて、液体の1件は「用法・用量」が「1日数回,適量を患部に塗布して下さい」となっていて、子ども向けの量や回数は別に書かれていませんでした。
日本皮膚科学会の書き方:皮膚科Q&Aでは、子どもへのステロイド外用薬について「年齢によってランクを下げる必要はありません」としたうえで、短期間で効果が表れやすいので使用期間に注意する必要がある、と説明しています。ただし、これはアトピー性皮膚炎のページにある説明で、医師が症状を見ながら薬を選ぶ場面を前提にした内容です。
もう一つの立場:一方で、子どもには弱めのステロイドを、と説明する情報も多く見かけます。子どもへの使用に慎重な立場からの考え方で、どちらかが間違いと決めつけられる話ではありません。
この記事で伝えたいのは、「年齢だけで塗る・塗らないを決めない」ことです。見るのは、塗る場所(顔・目のまわり・かき壊した所ではないか)、範囲(広くないか)、日数(長く続けていないか)。そのうえで、次のような場合は自分で決めずに相談してください。
- 乳幼児に使いたいとき(相談先として、薬剤師・登録販売者のほか、小児科・皮膚科もある)
- 箱の成分が学会の表に無く、強さが分からないとき
- すでに大人用を塗ったあとで、赤み・はれ・かゆみが強くなったとき
相談するときは、塗った薬の箱を持っていくと、成分と濃度をその場で見てもらえます。

線2:顔・まぶた・口のまわりは別のルール
市販のステロイドの塗り薬を顔に使うときは、強さと場所の両方に注意が書かれています。
添付文書の書き方:同じ3件はどれも「顔面には,広範囲に使用しないでください」としていました。使用しない部位として、液体の1件は「創傷面,目の周囲,粘膜等」、軟膏の1件は「目,目の周囲」を挙げています。軟膏の1件には「化粧下,ひげそり後等に使用しないでください」という一文もありました。
日本皮膚科学会の書き方:皮膚科Q&A(アトピー性皮膚炎のページ)では、顔は毛穴が多く薬の吸収がよいため、ミディアムクラス以下の弱いステロイドを使うことが原則、とされています。同じページには、1日2回の外用は1週間程度に留めるのがよい、とも書かれています。これも医師の診療を前提とした説明なので、自分で日数を決める物差しとしては使わないでください。
2つを合わせると、顔は「強さ」「範囲」「日数」のどれにも注意がいる場所だと分かります。特にまぶた・目のまわり・唇は、腫れているなら自分で塗る前に相談・受診を考えたい場所。顔の小さな1か所に塗りたいときも、箱の「してはいけないこと」を読んでから使ってください。
かき壊してじゅくじゅく・化膿していたら塗らない
虫刺されをかき壊したときに、市販薬のステロイドを塗り続けていいのか。ここは添付文書にはっきり書かれています。
ステロイド入りの3件は、使用しない部位に「水痘(水ぼうそう),みずむし・たむし等又は化膿している患部」を挙げていました。また、使用前に相談する人として「湿潤やただれのひどい人」「患部が広範囲の人」が並んでいます。ステロイドが入っていない製品でも、「湿潤やただれのひどい人」は相談の対象でした。
かき壊しが心配なのは、とびひにつながることがあるからです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、とびひ(伝染性膿痂疹)は細菌による皮膚の感染症で、あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいた傷に二次感染を起こしてなる、と説明しています。火事の飛び火のように、あっという間に広がることからついた呼び名です。
じゅくじゅくしている、黄色っぽい汁が出ている、かさぶたの周りに新しいぶつぶつが増えている。そんな様子があれば、市販薬を塗り足すより先に皮膚科・小児科を受診してください。
塗る量と回数は箱の用法どおり:量の目安は人差し指の関節ひとつ分
回数は、箱の「用法・用量」に書かれたとおりにします。取り上げた製品だけでも「1日数回,適量」「1日1〜数回,適量」「1日2〜3回適量」と書き方が違ったので、家にある箱の記載を確認してください。
量の目安として、日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは「1FTU(フィンガーチップユニット)」を紹介しています。
- 人差し指の先から第一関節まで、チューブから絞り出した量が約0.5g
- この量で、両方の手のひらに塗る広さに相当する
- 約0.5gになるのは25gや50gの大きいチューブの場合。5gのチューブでは、同じ長さを2回絞り出して約0.5g
同じページには、1FTUはもともとステロイドの軟膏やクリームを塗るときの量であること、塗る量が制限されている薬もあること、不明な場合は医師や薬剤師に聞いてから塗ることも書かれています。液体タイプは指で測れないので、箱の「適量」と「効能関連注意」(容器の当て方など)に従ってください。
もう一つ、先ほどの軟膏の添付文書には「使用部位をラップフィルム等の通気性の悪いもので覆わないでください」とあり、おむつの当たる部分に使うときは、ぴったりしたおむつやビニール製のパンツを使わないよう書かれていました。小さい子に使うときに見落としやすい一文です。
指の関節で量を測る考え方は、保湿剤にも出てきます。保湿クリームを塗っても乾燥するときに量から見直す記事では、同じ物差しを保湿の場面で使っています。
線3:何日まで塗る?「5〜6日で良くならなければ中止」の読み方
調べた添付文書は、ステロイドの有無にかかわらず、どれも「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し」、医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう書いていました。ステロイド入りの3件には「長期連用しないでください」という一文もあります。
一方、日本皮膚科学会の皮膚科Q&A(虫刺されのページ)には、虫刺されの多くは1〜2週間以内に改善する、症状が強い場合は皮膚科専門医を受診するのがよい、と書かれています。
子どもの虫刺されで知っておきたいのが、腫れが出るタイミングです。同じ皮膚科Q&Aによると、虫刺されのかゆみには、刺された直後に出て数時間で軽快する「即時型」と、1〜2日後に出て数日〜1週間で軽快する「遅延型」があります。蚊の場合、一般に乳幼児期は遅延型の反応だけが出るとされています(個人差は大きいとも書かれています)。刺された日は平気そうだったのに、翌日になって赤く腫れてきた。子どもにはそういう出方もある、ということです。
2つの日数は、意味が違います。
- 5〜6日:市販薬を使っても良くならないとき、使うのをやめて相談する区切り(添付文書)
- 1〜2週間:虫刺されそのものが落ち着いていく経過の目安(学会)
「2週間かかることもあるなら、市販薬を2週間塗り続けよう」とはつながりません。市販薬で様子を見るのは箱に書かれた日数まで。それを過ぎても良くならなければ、相談・受診に切り替えます。
あせも・かぶれにも同じ薬を使っていい?効能欄で確かめる
あせも用・かぶれ用・虫刺され用を全部別々に買うべきか。答えは、手元の箱の「効能・効果」欄に書いてあります。
ステロイド入りの3件は、どれも効能・効果に「かゆみ」「虫さされ」「かぶれ」「あせも」「湿疹」などが並んでいました。ステロイドが入っていない製品では、「あせも」の書かれていないものもあります。効能欄に書かれていない症状には使わず、そこは別に考えるのが基本です。
そのうえで、症状ごとに気をつけたいことがあります。
かぶれ:日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aは、接触皮膚炎(かぶれ)の治療で最も大切なのは、原因となる物質を見つけ出して取り除くことだと説明しています。新しい日焼け止め、植物、金属のアクセサリーなど、何に触れたあとに出たのかを思い出すのが先。薬を塗るのはその次です。
あせも:汗をかいたあとは、シャワーや入浴で汗を流して清潔にしておくこと。日本皮膚科学会のとびひのページでも、夏は入浴して皮膚を清潔に、と書かれています。あせもをかきむしると、虫刺されと同じくとびひのきっかけになります。
塗る前と一緒にできること:爪を短く、かかせない工夫
薬だけに頼らず、かき壊しを防ぐ工夫も一緒にやっておきたいところです。日本皮膚科学会の皮膚科Q&A(とびひの予防)には、次のことが挙げられています。
- 手洗いをする
- 爪を短く切る
- かきむしって皮膚を傷つけないようにする
- 入浴して皮膚を清潔にする
- 鼻の穴に指を入れないようにする(鼻の入り口はとびひの原因菌がいる場所)
寝ている間にかいてしまう子なら、寝る前に爪を短く整えておくのも一つの方法です。刺された場所を服で覆う、ばんそうこうで隠す、といった家庭の工夫も、かきむしりを減らす一つの手です。
刺されない工夫も大切。同じ学会の虫刺されのページでは、野外活動では肌の露出を少なくし、虫よけ剤(ディートやイカリジン)を使うことで、ある程度は防げると説明されています。ディートには小児向けの使用上の注意(顔には使わない、生後6か月未満には使わない等)があることも、あわせて書かれていました。
薬剤師・登録販売者への相談と、皮膚科・小児科の受診の目安
添付文書と日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aに書かれていることから、相談・受診を考えたい場面を整理しました。
市販薬を使う前に、薬剤師・登録販売者に相談したい場面
- 赤ちゃん・小さい子に使いたい(子ども向けの1件でも、使用開始の目安は生後3カ月以上)
- 患部が広い範囲にある
- じゅくじゅく・ただれがひどい
- 医師の治療を受けている、妊娠している、薬でアレルギーが出たことがある
- 家にある薬の成分が学会の表に無く、強さが分からない
皮膚科・小児科の受診を考えたい場面
- 化膿している、黄色い汁が出る、かさぶたの周りに広がっていく(とびひの心配)
- まぶた・目のまわり・唇が腫れている
- 市販薬を5〜6日使っても良くならない
- 赤みやかゆみが強い、腫れがどんどん広がる
- 水ぼうそうのような発疹が体のあちこちに出ている
すぐに救急車を呼ぶ場面
日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aによると、ハチに刺されたあとにジンマシンや腹痛、気分不良などが出た場合は、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。虫刺されのあと、全身のジンマシン、腹痛、呼吸困難、意識を失うといった症状が出るアナフィラキシーについては、ハチで特に注意が必要で、刺されて30分以内にショック状態になる人もいると説明されています。
相談や受診のときは、使った薬の箱、刺された日と場所、塗った回数をメモして持っていくと、状況を短い時間で伝えられるはずです。学会のページでは、刺した虫が分かればスマホで写真を撮っておくとよい、とも書かれていました。

よくある質問
Q1. 大人用の虫刺され薬を子どもに一度塗ってしまいました。どうすればいいですか?
A. 今回確認したステロイド入りの市販薬の添付文書には、小児について「保護者の指導監督のもとに使用させてください」とあり、年齢で使えないという書き方はありませんでした。ただし製品によって書き方は違います。塗った薬の箱の「用法・用量」と「使用上の注意」を読み、赤み・はれ・かゆみが強くなるなど気になる変化があれば、その箱を持って医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
Q2. 子ども用と大人用の虫刺され薬は、両方そろえておくべきですか?
A. 名前の「子供用」「大人用」より、成分と使う場所で考えるのが実際的です。今回確認した子ども向けの1件はステロイドもメントールも入っておらず、使用開始の目安を生後3カ月以上としていました。家族の年齢や、顔に使う場面があるかを伝えて、薬剤師・登録販売者に相談しながら選んでください。
Q3. ステロイドが入っていない虫刺され薬なら、顔や目のまわりに塗ってもいいですか?
A. ステロイドが入っていない製品の添付文書にも「目に入らないように注意してください」と書かれています。メントールなどのスーッとする成分が入っている製品もあります。まぶたや目のまわりが腫れているときは受診の目安にあたるので、自分で塗る前に相談してください。
Q4. 虫刺されのぷっくりした腫れが何日も引きません。
A. 日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、虫刺されの多くは1〜2週間以内に改善し、症状が強い場合は皮膚科専門医の受診がよいとされています。市販薬を5〜6日使っても良くならない場合は、添付文書のとおり使用を中止して医師・薬剤師・登録販売者に相談してください。
Q5. 去年の夏に買った虫刺され薬は使えますか?
A. まず箱や容器に書かれた使用期限を確認し、期限を過ぎたものは使わないでください。添付文書には、期限内でも開封後はなるべく早く使うよう書かれているものもあります。
まとめ:箱で見るのは成分と塗る場所、それと日数
虫刺され薬の子供用と大人用の違いを、箱で確かめるポイントを3行でまとめます。
- 成分:ステロイドの有無、成分名と濃度。学会の表と名前・濃度が両方一致したときだけランクを当てはめる
- 塗る場所:顔は広範囲に使わない、目のまわりや化膿している所には使わない、と添付文書に書かれている
- 日数:5〜6日使っても良くならなければ中止して相談。長く塗り続けない
年齢だけで「塗る・塗らない」を決めず、この3つを箱で見て、迷ったら箱ごと相談する。救急箱の中身を入れ替える前に、まずは今ある薬の成分欄を一度読んでみてください。春の回の花粉症の市販薬を併用する前の確かめ方も、同じ「箱で成分を見る」考え方で書いています。
この記事を書いた人
とりじん。登録販売者。市販薬の記事は、商品名ではなく成分名・分類で、PMDAに掲載された添付文書と日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aの記載をもとに書いています。お子さんへの使用や個別の症状の判断は、薬剤師・登録販売者・医師に相談してください。
数字の根拠
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎 Q7」(2026年10月19日確認)… ステロイド外用薬のランク表(ストロング:0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル・0.025%フルオシノロンアセトニド、ミディアム:0.3%吉草酸酢酸プレドニゾロン・0.1%ヒドロコルチゾン酪酸エステル・0.05%クロベタゾン酪酸エステル、ウイーク:0.5%プレドニゾロン) ページを開く
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎 Q8」(2026年10月19日確認)… 5段階に分類、効果の高さと副作用の起こりやすさ ページを開く
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎 Q12」(2026年10月19日確認)… 子どもと年齢によるランク ページを開く
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A アトピー性皮膚炎 Q13」(2026年10月19日確認)… 顔はミディアムクラス以下が原則、1日2回の外用は1週間程度 ページを開く
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 虫刺され Q2・Q4」(2026年10月19日確認)… 即時型は数時間、遅延型は1〜2日後に出て数日〜1週間、乳幼児期は遅延型のみ Q2/Q4
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 虫刺され Q3・Q10」(2026年10月19日確認)… アナフィラキシー、30分以内、救急車 Q3/Q10
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 虫刺され Q6・Q12・Q13」(2026年10月19日確認)… ブユと野外レジャー、多くは1〜2週間以内に改善、虫よけ剤と生後6か月未満 Q6/Q12/Q13
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A とびひ Q1・Q9」/「かぶれ Q19」(2026年10月19日確認)… とびひの原因と予防、かぶれは原因の除去 とびひQ1/とびひQ9/かぶれQ19
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 皮膚科領域の薬の使い方 Q3」(2026年10月19日確認)… 1FTU=約0.5g、5gチューブは2回 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(デキサメタゾン酢酸エステルを含む液体のかゆみ止め、2026年10月19日確認)… 使用しない部位、顔面、長期連用、5〜6日間、小児 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(デキサメタゾン酢酸エステル・クロタミトンなどを含むかゆみ止めクリーム、2026年10月19日確認)… 使用しない部位、顔面、長期連用、5〜6日間、小児 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(ベタメタゾン吉草酸エステルを含む湿疹・皮膚炎用軟膏、2026年10月19日確認)… 100g中0.12g、目・目の周囲、ラップ・おむつ、5〜6日間 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(ジフェンヒドラミン塩酸塩・パンテノールを含む子ども向けの液体かゆみ止め、2026年10月19日確認)… 生後3カ月以上、100g中2g・1g、メントール不使用 ページを開く
- PMDA 一般用医薬品の添付文書(ジフェンヒドラミン・メントール・カンフルなどを含むステロイドなしのかゆみ止め、2026年10月19日確認)… 湿潤やただれ、5〜6日間、1日2〜3回 ページを開く
※引用元は、PMDAに掲載された添付文書の一例です。特定の製品をすすめるものではありません。
登録販売者が書く「季節の市販薬」シリーズ(全4回)
- 春:花粉症の市販薬:飲み薬・点鼻薬・目薬を重ねる前の確認
- 夏:虫刺され薬:子供用と大人用の違い(この記事)
- 秋:頭痛薬:空腹時に飲んでいいかは成分で違う
- 冬:せき止め:大人用を子どもに半分、はなぜ避けるのか
この記事が役に立ったら、とりじんをフォローしてください