SNSで流れてきた写真を見て、「これ、本物かな。それともAI?」と手が止まった経験はありませんか。AI画像の見分け方を調べると、判定ツールの名前がずらりと並びます。でも、ツールに通して「AIなし」と出たら、本当に安心してよいのでしょうか。

2026年10月7日、GoogleがAI生成コンテンツの判定ポータル「SynthID Detector」を一般公開しました。これで白黒がつく、と期待した人も多いはずです。ところが、このツールの結果は「検出なし」だからといって本物の証明にはなりません。理由は、ツールが探しているものにあります。

この記事では、AI画像の見分け方を「判定ツール」「目視」「出どころの確認」の3点セットで整理します。内容は、synthid.com、Google公式ブログ、OpenAI公式ヘルプ、Geminiアプリの公式ヘルプの記載にもとづいています。確認した時点は、2026年10月9日。

なお、筆者はこのツールを実際に操作して画像を判定した経験がありません。体験談ではなく、公式情報を読み解いてまとめた記事です。この前提で読み進めてください。

Contents
  1. 「AI画像の見分け方」で迷う人の悩みは3種類あります
  2. 結論:AI画像の見分け方で、判定ツールが出せるのは「透かしがあるか」だけです
  3. 2026年10月、GoogleがAI画像などの判定ツール「SynthID Detector」を一般公開しました
  4. 判定できるのは「対応している会社のAI」で作った画像だけです
  5. 日本から使える?使い方とログイン・アップロードの注意点
  6. 結果の読み方①「検出あり」が意味すること
  7. 結果の読み方②「検出なし」が本物の証明にならない4つの理由
  8. ChatGPTで作った画像は見分けられない?古い情報に注意
  9. 透かし以外の手がかり①:ファイルに残る情報(メタデータ・Content Credentials)
  10. 透かし以外の手がかり②:目視のコツと、通用しなくなる理由
  11. 透かし以外の手がかり③:画像の「出どころ」を調べる
  12. ツール+目視+出どころの3点セット:結論の出し方
  13. 場面別:ここまで確認すれば十分という目安
  14. 判定ツールに画像をアップロードする前の注意
  15. やりがちな失敗
  16. よくある質問
  17. まとめ

「AI画像の見分け方」で迷う人の悩みは3種類あります

緑色の背景に置かれた虫眼鏡

Yahoo!知恵袋には、AI画像に関する質問が数多く並んでいます。質問のタイトルや内容をかいつまんで読むと、悩みは大きく3種類に分かれます。

  • 悩みA:見分け方そのものが分からない。「AI画像と通常撮影した画像の見分け方を教えてください」「最近のAIイラストの見分けがつきません」といった質問です。
  • 悩みB:判定ツールの結果がバラバラで信じていいか分からない。ある判定サイトに自分で描いた絵をかけたところ、40%と出たものもあれば0.1%と出たものもあった。一方で、別のイラストレーターの絵は70%くらい出た、という相談がありました。
  • 悩みC:AIが作った画像をAIは見破れるのか、ChatGPTの画像は識別できないと聞いたが本当か。古い情報のまま止まっている人が目立ちます。

知恵袋の質問の多くは、SynthID Detectorが公開された2026年10月7日より前に書かれたものです。当時の回答にある「確実な判別方法はない」という言葉は、今も基本は変わりません。ただし、一部の画像については透かしを調べる手段が使えるようになりました。この両方を、正直に書いていきます。

あなたの悩みはA、B、Cのどれに近いでしょうか。全部当てはまる人も、そのまま最後まで読めば答えにたどり着けます。

結論:AI画像の見分け方で、判定ツールが出せるのは「透かしがあるか」だけです

結論から言うと、AI画像の判定ツールが調べているのは、画像の中に「目に見えない印(透かし)」が入っているかどうかだけです。印が見つかれば、その画像は対応するAIで作られたか編集された可能性が高いといえます。

では、印が見つからなかったらどうでしょうか。この場合は「人間が作った」とは言えません。透かしを入れていないAIで作った画像や、透かしが弱まるほど加工された画像は、ツールには何も映らないからです。

たとえるなら、名札を探す作業に近いでしょう。名札をつけている人は、すぐに誰か分かります。名札が見つからなくても、その人が人間だと決まるわけではありません。名札をつけていない人も、名札が外れてしまった人もいるからです。

だから、見分け方は「ツール+目視+出どころの確認」の3点セットで考えるのがおすすめです。ツールは3つのうちの1つ、という位置づけになります。

YU人
YU人
判定ツールに通せば、AIか本物か白黒つくんですよね?
とりじん
とりじん
実は、ツールが調べているのは「透かしがあるか」だけなんです。

2026年10月、GoogleがAI画像などの判定ツール「SynthID Detector」を一般公開しました

ノートパソコンのキーボードを操作している手元

2026年10月7日、Googleは公式ブログで「SynthID Detector」の一般公開を発表しました。世界中で、英語で使えるとされています。ユーザーが画像・動画・音声のファイルを調べて、GoogleやそのパートナーのAIで作られたものかを確かめられる、という説明です。

ここで、そもそもSynthID(シンセID)とは何かを整理しておきます。SynthIDは、AIが画像を作るときに、人の目には見えない印を一緒に埋め込む仕組みです。この印のことを、この記事では「透かし」と呼びます。紙幣に入っている透かしと似た考え方で、見た目は変わらないのが特徴。

SynthID Detectorは、その透かしを探すためのウェブ上のポータル(入口のサイト)です。調べられるのは、画像・動画・音声の3種類。ここは大事なポイントです。synthid.comのよくある質問では、現在の対応はこの3種類と案内されていて、文章(テキスト)は含まれません。

Google公式ブログによると、すでにGoogle検索、Geminiアプリ、Chromeにも内蔵の確認機能があり、まとめて1日100万件を超えるリクエストを処理しているとのことです。Detectorはこれとは別に、ファイルを自分でアップロードして調べる専用の入口にあたります。

ただし、このあと詳しく見るとおり、どんな画像でも判定できるツールではありません。まず、その点を先にお伝えしておきます。

判定できるのは「対応している会社のAI」で作った画像だけです

synthid.comのトップページには、対応会社のロゴが並んでいます。2026年10月9日に確認した時点で表示されていたのは、Google、NVIDIA、OpenAI、Kakaoの4社でした。Appleは、Google公式ブログで「近く対応する」と書かれているだけで、対応済みとは言えません。

AIを作った会社 このツールでの扱い
Google、OpenAI、NVIDIA、Kakao 判定の対象(2026年10月9日時点の表示)
Apple 対応予定(公式ブログでは「soon」)
上記以外のサービス 判定できない

公式の対応一覧に載っていないサービスで作った画像は、このツールでは判定できません。サイト自身も「This is not a general AI detector.」(これは汎用のAI判定ツールではない)と明記しています。導入している会社の画像だけを調べる専用の道具。これが正しい理解です。

もう1つ、よく混同される点があります。世の中には、AIが残す痕跡やパターンから「AIらしさ」を確率で推定するタイプの判定サイトも存在します。公式のよくある質問は、両者の違いを次のように説明しています。

透かしを検出するタイプ 痕跡から推定するタイプ
調べるもの 意図的に埋め込まれた信号 生成AIが残すパターン
強み 見つかれば信頼性が高い 透かしがなくても使える
弱み 導入した会社のAIしか特定できない 信頼性が下がることがある

つまり、どちらも万能ではありません。透かし型は「当たれば強いが、守備範囲が狭い」。推定型は「範囲は広いが、当たり外れが出る」。知恵袋で見かけた「結果がバラバラ」という悩みは、この性質の違いも関係していると考えられます。

文章のAI判定にも、似た限界があります。理由はAIで書いたレポートが見抜かれる本当の理由を解説した記事にまとめています。画像でも文章でも「AI判定は絶対ではない」という点は共通です。

日本から使える?使い方とログイン・アップロードの注意点

Google公式ブログは、世界中で、英語で公開したと説明しています。日本語の画面は、少なくとも公式ページでは確認できず、地域制限の記載も見つかっていません。

ただし、日本からログインして判定が実際に動くかどうかは、筆者は未検証です。「日本で問題なく使えた」とは書けないため、使う場合は、画面が英語であることを前提にしてください。

手順は、公式ページの記載を合わせると次の流れです。

  1. synthid.comを開く
  2. サインインする(規約には、Appleなど外部アカウントで認証する場合の記載があります。この記事ではログイン画面そのものは確認できていないため、どのアカウントで入れるかは、公式ページの表示で確かめてください)
  3. 調べたいファイルをアップロードする
  4. 結果を読む

対応しているファイル形式は、公式ページによると次のとおりです。

  • 画像:JPG、JPEG、PNG、BMP、WEBP、AVIF、HEIC、HEIF、TIFF、TIF、GIF
  • 動画:MP4、MOV、WEBM
  • 音声:WAV、MP3、OGG、FLAC、AAC、M4A

アップロードのコツも、公式が書いています。できるだけ高画質のファイルを使うこと。重い圧縮や編集がかかると、検出に影響するためです。LINEやSNSで受け取った画像は、元のファイルより画質が落ちていることが少なくありません。そのまま判定にかけても、弱い結果になりやすい点に注意しましょう。

なお、1日あたりの利用上限(クオータ)があるという記載は規約にありますが、回数は公開されていないため、ここでは書きません。料金についても、公式画面で確認できなかったため触れません。

サインインに使うアカウントのやりとりがどう扱われるか気になる人は、AIとの会話は他人に見られるのかを整理した記事も参考になります。

結果の読み方①「検出あり」が意味すること

「検出あり」と出たら、どう受け取ればよいでしょうか。公式のよくある質問では、SynthIDを使うAIモデルで生成または編集された可能性が高い、という意味だと説明されています。

ここで注意したいのは、「可能性が高い」という言い方です。分かるのは「透かしが入っていた」という事実まで。画像全体をAIが作ったのか、本物の写真を一部だけAIで編集したのかは、この結果だけでは区別できません。OpenAIの公式ヘルプでも、同じ趣旨の注意があります。

また、誰が何の目的で作ったのかも分かりません。AIで作った画像が、すべて悪意のあるものとは限らないからです。イラスト作品や広告用の素材として、堂々と使われているものも多数。「AIだから悪い」と決めつけない姿勢も大切です。

さらに、公式FAQは、ごくまれに透かしのないコンテンツで誤って反応することがあるとも認めています。誤検出の割合を示す数字は見つかっていません。「検出あり」の1回だけで断定するのは禁物。ほかの手がかりも組み合わせるのが安全です。

YU人
YU人
ツールで「検出なし」と出たら、本物と考えていいですか。
とりじん
とりじん
そこが落とし穴です。なぜなのか、4つに分けて見ていきましょう。

結果の読み方②「検出なし」が本物の証明にならない4つの理由

ここが、この記事の核心です。synthid.comの公式のよくある質問でも、検出なしは「確信できる信号が見つからなかった」という意味で、AI生成や加工を完全に否定するものではない、と説明されています。公式が自分で、結果の限界を書いているのです。

では、なぜ「検出なし」でもAI製の可能性が残るのか。理由は4つあります。

理由①:対応していないAIで作られた、または対応前に作られた

公式の対応一覧にない会社のAIで作った画像は、そもそも透かしが入っていません。対応する会社のAIでも、透かしの導入前に作られた画像には入っていない場合があります。公式のよくある質問も、検出なしになる理由として「SynthID非対応のモデルで作られた」ことを挙げています。

理由②:加工・圧縮・スクリーンショットで透かしが弱まった

画像を大きく切り取ったり、強く圧縮したりすると、透かしが検出しにくくなります。公式FAQは強い加工で劣化する可能性に触れ、OpenAI公式ヘルプも、強いトリミングや圧縮、大幅な変更で検出できなくなりうると案内しています。

理由③:ファイルの情報(メタデータ)が落ちた

OpenAI公式ヘルプによると、アップロード、ダウンロード、編集、変換、共有の過程で、ファイルに付いた情報が消えることがあります。これは透かしそのものではなく、別の手がかりが失われる話ですが、判定結果が「何も出ない」方向に傾く点は同じです。

理由④:透かしの検出は完全ではない

公式FAQは、透かしは完全ではなく、多くの加工を試せば検出されない形を見つけられる可能性がある、と明記しています。SynthIDは来歴を確かめる「多層アプローチの1層」であり、単独の保証ではない、とも説明されています。公式が書いている範囲を超えて、具体的な手口を想像で書くのはやめておきます。

この4つをまとめると、「検出なし」は「判断材料が1つ増えなかった」という意味にすぎません。公式も、追加の証拠を集めることを勧めています。結果が白でも、そこで確認を止めない。これが鉄則です。

ChatGPTで作った画像は見分けられない?古い情報に注意

知恵袋には、「ChatGPTで作った画像は識別できない」という趣旨の回答が残っています。これは当時の状況の話です。

OpenAI公式ヘルプによると、ChatGPT、Codex、OpenAI APIで生成した画像には、Content Credentials(C2PA)という来歴情報と、SynthIDの透かしの両方が入るとされています。ただし、ヘルプには、作成時期、製品、出力経路、ファイル形式によってカバー範囲は変わるとも書かれていて、APIの一部の、廃止が予定されているモデルなど、対象外のものもあると案内されています。導入の時期については、公式ヘルプで日付を確認できなかったため、この記事では触れません。

確認の方法として、OpenAIはopenai.com/verifyという確認ページを案内しています。画像や音声をアップロードすると、SynthIDの透かしや、信頼できるC2PAの情報を探してくれます。

ここで押さえたいのは、このページが調べるのは「OpenAI製かどうか」だという点です。OpenAIのヘルプは、他社のAIで作られたものを検出する設計ではない、と説明しています。検出なしの場合も、導入前の画像や、未対応の出力経路、メタデータの欠落、透かしの劣化といった理由で、OpenAI製の可能性が残るとされています。

Geminiアプリも同じ構図です。Geminiアプリの公式ヘルプでは、画像をアップロードして「Google AIで作られましたか?」と聞くと確認できます。ただし、Geminiが今認識できるのは、Google製のAIで作られたコンテンツだけです。検出されなくても、他社のAIで作られた可能性は残ります。

整理すると、こうなります。Geminiアプリは「Google製かどうか」、OpenAIの確認ページは「OpenAI製かどうか」を調べる入口。それに対してSynthID Detectorは、対応する4社をまとめて調べる入口です。同じ「SynthID」でも、入口ごとに守備範囲が違います。

YU人
YU人
ChatGPTで作った画像は見分けられないって聞いたんですが。
とりじん
とりじん
それは少し古い情報です。ただ「OpenAI製かどうか」を調べるもので、他社の画像は別なんですよ。

透かし以外の手がかり①:ファイルに残る情報(メタデータ・Content Credentials)

透かしの次に確認したいのが、ファイルそのものに残された情報です。大きく2種類あります。

1つ目は、EXIF(イグジフ)と呼ばれるメタデータです。カメラの機種や撮影日時などが記録されていて、本物の写真には残っていることが多い手がかりです。Geminiアプリの公式ヘルプも、AI画像を見分けるヒントの1つとしてメタデータの確認を挙げています。

2つ目は、Content Credentials(コンテンツ・クレデンシャル)です。どのツールで作り、どう編集されたかという「来歴」を記録する仕組みで、C2PAという規格にもとづいています。OpenAIの画像にも付くと案内されています。

確認には、Content Authenticity Initiativeの検証サイト(verify.contentauthenticity.org)があります。ファイルをドラッグして置くと、来歴の有無などを調べられる仕組みです。表示される詳しい項目は、この記事では実画面で確認できていないため、細かくは書きません。

注意したいのは、これらの情報は「消えることがある」点です。OpenAI公式ヘルプによると、C2PAはスクリーンショットや形式変換で失われうるとされています。LINEやSNSを経由した画像は、プラットフォームの処理で情報が落ちている場合もあります。

だから、情報が無い=怪しい、とは言い切れません。逆に、本物らしい撮影情報が付いていても、後から書き換えられる可能性はゼロではないのです。「手がかりの1つ」として扱いましょう。

透かし以外の手がかり②:目視のコツと、通用しなくなる理由

海辺の景色を写した一枚の写真を手に持っている様子

目で見て確かめる方法も、まだ役に立つ場面があります。Geminiアプリの公式ヘルプは、AI画像でよく見られる特徴として次のような点を挙げています。

  • 文字が崩れている、読めない
  • 手や歯、背景の小さな部分に誤りがある
  • 影や光の向きが合っていない
  • 不自然な繰り返し模様がある

知恵袋でも、指の数や髪の流れ、背景の崩れといった同じ話題が多く出ています。ただし、これらは「当たれば強い」だけの手がかりです。

理由は2つあります。1つは、AIの進歩で、こうした誤りが年々減っていること。知恵袋の回答者自身も、AIが進化したら通用しなくなる、加工されたら分からない、と認めています。もう1つは、指が正しく描かれていても、それが本物の証拠にはならないことです。

さらに、ある回答者は、スマホのカメラ自体がAI補正を使うため、本物とAIの境目があいまいになってきたと指摘していました。これは個人の指摘ですが、納得できる部分があります。撮影した写真でも、補正の強さによっては「作り物っぽい」見た目になるからです。

目視は、怪しい点が見つかったときに「ちょっと待とう」と立ち止まるためのブレーキとして使うのが現実的です。「ここがおかしいからAI」「おかしくないから本物」と結論を出す道具にはしないでください。

透かし以外の手がかり③:画像の「出どころ」を調べる

3つ目の手がかりは、画像そのものではなく、画像の「出どころ」です。実は、いちばん頼りになるのはここかもしれません。

Geminiアプリの公式ヘルプも、逆画像検索を見分け方の1つに挙げています。Google画像検索などに画像を入れると、同じ画像や似た画像が過去にどこで使われたかを調べられます。

確認したいのは、たとえば次のような点です。

  • 投稿した人は、ふだんどんな投稿をしているか
  • 報道機関や公式アカウントも、同じ画像を出しているか
  • 同じ場面を撮った別の写真や動画が、ほかにもあるか
  • 最初に出回った日時は、事件や出来事より前になっていないか

本物の出来事なら、たいてい複数の人が別の角度から記録しています。1枚だけがやけにきれいで、ほかに裏づけがない場合は、慎重に見るサインです。

AIの答えも画像も、最後は出どころ(一次情報)で確かめる、という考え方は共通しています。登山の例などでAIの誤答に気づく手順は、AIの誤答を一次情報で確認する対処法の記事でも詳しく紹介しています。

YU人
YU人
結局、何を見て判断すればいいんでしょう。
とりじん
とりじん
1つに頼らず、3つを組み合わせるのがコツです。

ツール+目視+出どころの3点セット:結論の出し方

ここまでの内容を、実際に画像を見たときの手順にまとめます。ファイルの情報の確認は、「出どころ」を調べる作業の一部と考えてください。結論の出し方は、2択ではなく3段階です。

  1. 出どころを調べる。投稿者、元の報道、別の写真の有無を確認します。
  2. ファイルの情報を見る。EXIFやContent Credentialsが残っていないか調べます。
  3. 判定ツールで透かしを調べる。できれば元のファイルに近い、画質のよいものを使います。
  4. 目視で細部を見る。文字、手、影、背景を確認し、怪しい点があればメモします。
  5. 3段階のどれかに当てはめる。
判断 当てはまる状況
AIの可能性が高い ツールで透かしが検出された
AIとも本物とも言えない 検出なしで、出どころも分からない
本物の可能性が高い 出どころが確認でき、ほかに矛盾もない

真ん中の「AIとも本物とも言えない」は、立派な正解です。無理に白黒をつけて、誰かに「本物だよ」「フェイクだ」と伝えるより、「判断を保留する」ほうがずっと安全です。

特に、ツールが「検出なし」で、出どころも分からない場合。このときは、確かめられていないだけで、本物だと分かったわけではありません。この状態では、シェアも転送も控えるのがおすすめです。

場面別:ここまで確認すれば十分という目安

スマートフォンを操作している手元とコーヒーカップ

確認にかけられる時間は、場面によって違います。よくある4つの場面で、目安を示します。

場面①:SNSで拡散している災害・事件の画像

シェアする前に、出どころと報道を確認します。投稿者の過去の投稿を見て、報道機関や公式アカウントが同じ画像を出していなければ、拡散に加わらないのが無難です。ツールで「検出なし」と出ても、それだけで安全とは言えない点も、忘れないでください。

場面②:家族のLINEで回ってきた画像

判定ツールで透かしを調べるのは良い手です。ただし、結果が「検出なし」でも、「本物だから安心」と返信するのは避けましょう。「出どころが分からないので、まだ分からないね」という返し方が、いちばん誤解を生みません。

場面③:子どもや親世代への注意喚起

「AIの判定ツールで調べれば大丈夫」とだけ伝えると、かえって危険です。一言添えてください。「ツールで何も出なくても、本物とは限らないよ」。この一言だけで、安心しすぎるのを防げます。

場面④:自分の絵や写真を「AIでは?」と疑われた

知恵袋には、自分のイラストを判定してみた、という相談や、他人の絵を疑う悩みがありました。ツールの結果だけで白黒を決めないことが大切です。ラフや途中経過、制作の記録があれば、それを示す。これが一般的な対処です。逆に、他人の作品をツール1つの結果だけで「AI」と決めつけるのも避けましょう。特定の誰かを名指しで責める投稿は、トラブルのもとになります。

判定ツールに画像をアップロードする前の注意

判定ツールは外部のサービスです。画像を上げるとき、手元の写真がそのまま相手に渡ることを忘れてはいけません。

公式の規約を見ておきましょう。synthid.comの規約では、アップロードした素材は結果を返したあとに削除されるとされています。ただし、不正利用の防止のため、素材の「デジタル署名」がユーザーIDに紐づけて24時間保存される旨も書かれています。

一方、OpenAIの公式ヘルプでは、確認ページにアップロードしたものは保存しない(法的要請を除く)、学習にも使わないと案内されています。この2つは別のサービスなので、混ぜて理解しないようにしましょう。

とはいえ、公式の説明があっても「絶対に安全」とは言い切れません。次のような画像は、むやみに上げないのが基本です。

  • 顔がはっきり写った写真(特に家族や子ども)
  • 名札、住所、車のナンバーなど、個人が特定できるもの
  • 会社の資料や、社外秘の画面のスクリーンショット

どうしても調べたい場合は、必要な部分だけを切り出す、個人情報が写る箇所を隠す、といった工夫があります。ただ、切り出しや加工をすると透かしが弱まる点とのバランスが難しくなります。迷ったら、そもそもその画像を外部に上げる必要があるかを考えてみてください。

生成AIに情報を渡すときのリスクは、生成AIの情報漏洩の原因と対策をまとめた記事で取り上げています。顔写真や社外秘を扱う前の予習になるはずです。

やりがちな失敗

ここまでの内容を踏まえて、起こりやすい失敗を5つ挙げます。

  • 「検出なし」を「本物」と家族や同僚に伝える。いちばん多い失敗です。結果の意味は「判断材料が増えなかった」までです。
  • スクリーンショットやLINE転送の画像をそのまま判定にかける。元のファイルでないと、透かしが弱くなっていて検出されにくくなります。Geminiアプリの公式ヘルプも、スクショは画像の周りを切り詰めて撮るよう案内しています。
  • ツール1つの結果だけで、他人の作品を「AI」と決めつける。誤検出の可能性があるうえ、相手を傷つけます。
  • 古い目視のコツ(指の数など)だけで判断する。AIは進歩していて、通用しない場面が増えています。
  • 判定結果の画面を、そのまま根拠として拡散する。結果画面は「証明書」ではなく、あくまで1つの参考情報です。

どれも、ツールの結果を「最終答え」として扱ってしまうことが原因です。結果は材料の1つ。そう割り切るだけで、失敗の大半は防げます。

よくある質問

SynthID Detectorは日本語で使えますか?

公式は世界中で英語で公開したと案内しており、日本語の画面は確認できませんでした。地域制限の記載は見つかっていませんが、日本から実際に問題なく動くかどうかは未検証です。画面は英語のみという前提で使ってください。(2026年10月9日時点)

「検出なし」と出たら、本物の画像と考えてよいですか?

いいえ、そうとは限りません。公式のよくある質問でも、検出なしはAI生成や加工を完全に否定するものではないと説明されています。対応していないAIで作った、強い加工や圧縮で透かしが弱まった、といった場合も検出なしになります。出どころの確認なども合わせて判断してください。

ChatGPTで作った画像は見分けられますか?

OpenAI公式ヘルプによると、ChatGPTなどで生成した画像にはContent CredentialsとSynthIDの両方が入るとされています。SynthID Detectorや、OpenAIの確認ページで調べられます。ただし、作成時期や出力経路、ファイル形式によって対象範囲は変わり、加工や圧縮で検出できなくなることもあります。

スクリーンショットでも判定できますか?

調べること自体はできますが、おすすめしません。スクリーンショットや形式変換では、透かしや来歴情報が弱まったり消えたりすることがあります。公式も、できるだけ高画質で元のファイルに近いものを使うよう案内しています。

文章(テキスト)もSynthID Detectorで判定できますか?

いいえ。synthid.comの公式FAQでは、現在サポートしているのは画像・動画・音声の3種類とされており、テキストは含まれていません。

まとめ

AI画像の見分け方について、判定ツールの結果をどう読むかを整理してきました。大事な点は3つです。

  • 見分け方は「ツール+目視+出どころの確認」の3点セットで考える
  • 「検出なし」は本物の証明ではない。透かしを入れていないAIや、加工で弱まった画像は、ツールには映らない
  • 確かめきれないときは、「判断を保留する」が正解になる

SynthID Detectorは、対応する会社のAIで作った画像を調べるには頼れる新しい道具です。一方で、AI画像全体を見破る万能ツールではなく、公式自身も、単独の保証ではないと説明しています。

次に怪しい画像を見かけたら、まず出どころを確認してください。そのうえで、必要なら判定ツールで透かしを調べる。この順番を覚えておけば、慌ててシェアして後悔することも減るはずです。

出典と確認時点(2026年10月9日):synthid.com(公式サイトとよくある質問・規約)/Google公式ブログ(2026年10月7日公開の発表記事)/OpenAI公式ヘルプ「Provenance signals in OpenAI-generated content」/Geminiアプリ公式ヘルプ。各社の仕様は変わる可能性があるため、最新の情報は公式ページで確認してください。

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