「青魚を食べると体にいい」「DHA・EPAのサプリを飲んでいる」——そんな話、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。でも、DHAとEPAって結局何が違うのか、正直よくわからないまま「なんとなく体によさそうだから」で選んでいる人も多いはずです。

この記事では、DHA・EPAがそれぞれ体の中でどんな役割を持っているのか、どれくらい摂ればいいのか、そして「EPAを主成分にした薬がある」という話の正しい理解の仕方まで、順番に整理していきます。難しい成分名を覚える必要はありません。今日の食事から何をどう選べばいいか、その判断材料を持ち帰ってもらえたらと思います。

健康診断の結果で中性脂肪やコレステロールの数値に「▲」がついて、初めて青魚や魚油のことを調べ始めたという人も多いのではないでしょうか。ネットで検索すると「これを飲めば数値が下がる」「1ヶ月で劇的に変わる」といった威勢のいい言葉がたくさん出てきますが、実際のところ何がどこまでわかっていて、何がまだわかっていないのか、その線引きは意外と曖昧なまま語られがちです。この記事では、そのあたりをできるだけ正確に切り分けながら説明していきます。

網の上で焼かれている魚の切り身、DHA・EPAを含む和食の食卓イメージ

EPA・DHAとは何か:必須脂肪酸というグループの話

EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、どちらも「オメガ3系脂肪酸」と呼ばれる脂質の仲間です。脂質というと太る原因のように思われがちですが、体の細胞膜やホルモンの材料になる、生きていくうえで欠かせない栄養素でもあります。

この仲間は「必須脂肪酸」に分類されます。必須、という言葉がついているのは、体の中で必要な量を自分だけでは作りきれず、食事から補う必要があるからです。ビタミンやミネラルと同じで、栄養バランス全体の中の一部として理解しておくと整理しやすくなります。栄養素全体の基礎をもう少し押さえておきたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

脂質と聞くと「できるだけ減らすべきもの」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、脂質にはいくつも種類があり、それぞれ体の中での役割が違います。オメガ3系脂肪酸であるEPA・DHAは、細胞膜を柔らかく保つ働きに関わるとされており、揚げ物や肉の脂に多いオメガ6系脂肪酸とはバランスの取り方が異なります。現代の食生活はオメガ6系に偏りがちだと言われているため、意識的にオメガ3系の食品を選ぶことに意味があるわけです。

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なぜ体の中だけでは足りないのか

実は、EPA・DHAは体内でまったく作れないわけではありません。えごま油や亜麻仁油に多く含まれる「α-リノレン酸」という別の脂肪酸から、体内で変換して作ることができます。

ただし、この変換効率はあまり高くないことがわかっています。α-リノレン酸を摂ったからといって、必要な量のEPA・DHAにきちんと変換されるとは限らないのです。そのため栄養の専門家の間では、変換に頼るのではなく、魚介類や食品、サプリメントから直接EPA・DHAを摂ることが推奨されています。

YU人
YU人
えごま油を摂っていればEPA・DHAも足りるってことですか?
とりじん
とりじん
変換効率があまり高くないので、それだけに頼るのはおすすめしません。魚などから直接摂るほうが確実ですよ。

「体で作れるから摂らなくていい」ではなく、「作りにくいからこそ、食事で意識的に補う」というのが正しい理解になります。えごま油や亜麻仁油は加熱に弱い性質があるため、サラダのドレッシングにするなど、生のまま使う工夫をしている人も多いようです。ただしそれだけに頼らず、魚介類など直接EPA・DHAを含む食品と組み合わせることが、より確実な摂り方になります。

DHA:脳・神経・目に関わる栄養素

DHAは、脳や神経組織、網膜に多く含まれている脂肪酸です。脳の重量のうち一定量は脂質でできていて、DHAはその構成成分のひとつとして存在しています。神経細胞同士が情報をやり取りする膜の柔軟性を保つのに関わっているとされ、脳や目の機能を維持するうえで欠かせない栄養素として知られています。

DHAを多く含む食品としては、マグロやブリなどの赤身魚、イクラなどが代表的です。子どもの発達期だけでなく、大人になってからも継続して摂りたい栄養素のひとつです。

「魚を食べると頭がよくなる」という言い方を耳にしたことがある人もいると思います。これは、DHAが脳や神経組織の材料になっているという事実がもとになって広まった表現です。ただし、特定の食品を食べたからといって、それだけで学習能力や記憶力が直接的に向上するという意味ではありません。あくまで、脳の機能を維持するための材料のひとつとして働いている、という理解にとどめておくのが正確です。年齢を重ねるにつれて摂取量が減りがちな栄養素でもあるため、高齢の家族がいる人は食卓の内容を振り返ってみるのもいいかもしれません。

サーモンの刺身が重なっている様子、DHAを多く含む生魚

DHAとアルツハイマー病の関係、正確なところ

DHAとアルツハイマー病の関係については、「DHAを摂ればアルツハイマー病を防げるのでは」という期待の声を耳にすることがあります。ただし、ひとつの報告や俗説だけを根拠に効果を断定するのは早計なので、ここで期待できる点とまだ証明されていない点を分けて整理しておきます。

これまでの観察研究では、加齢に伴う脳機能の変化とDHAの不足に何らかの関わりがあるのではないか、という報告があります。DHAが脳の健康に関係する栄養素として研究対象になっていること自体は事実です。

一方で、すでに軽度から中等度のアルツハイマー病と診断された人にDHAのサプリメントを投与した臨床試験では、認知機能の低下を遅らせる効果ははっきりと確認されなかった、という結果も報告されています(出典:ケアネット)。

つまり、DHAは脳の健康に関わる栄養素として日常的に意識する価値はあるものの、「アルツハイマー病を予防できる」「進行を止められる」と言い切れるほどの証拠はまだない、というのが現時点で正確な理解です。期待と限界の両方を踏まえたうえで、日々の食事の一部として取り入れるのが現実的な向き合い方だと思います。

研究の世界では、「発症する前の段階から長期間続けた場合にどうか」「すでに発症した後に投与した場合にどうか」で結果が変わってくることがよくあります。DHAについても、この2つを分けて考える必要があり、ひとつの研究結果だけを取り上げて「効く」「効かない」と断定するのは早計です。日々の食事にDHAを取り入れることは、脳の健康維持を意識した生活習慣のひとつとして続ける分には無理のない選択だと言えます。

YU人
YU人
DHAを摂れば、もの忘れの予防になるんですか?
とりじん
とりじん
そこまで言い切れる段階ではないんです。脳の健康に関わる栄養素として研究されている、というのが正確なところですね。

EPA:血管・血中脂質に関わる栄養素

EPAは、鯖やいわしなどの青魚に多く含まれる脂肪酸です。血管の弾力を保つ働きや、血中の脂質バランスに関わる栄養素として知られており、年齢を重ねるほど意識したい成分のひとつといえます。

ただし、ここで正確に押さえておきたい点があります。一般的な食品としてEPAを摂ることに、中性脂肪を直接減らす効果があると保証されているわけではない、ということです。EPAが中性脂肪の数値に関わる医薬品(後述するエパデール)の主成分として承認されているのは事実ですが、これは医薬品としての話であり、食品として摂ることとは分けて考える必要があります。

血管は年齢とともに硬くなっていくと言われていますが、その進み方には食生活が大きく影響しています。揚げ物や脂の多い肉料理が中心の食生活を続けている場合と、青魚を定期的に取り入れている場合とでは、日々摂っている脂質の種類そのものが違います。「何を我慢するか」だけでなく、「何を積極的に選ぶか」という視点を持つことが、血管の健康を考えるうえでは大切になってきます。

血管がしなやかさを失っていく背景には、老化や生活習慣の積み重ねが関わっています。血管の老化そのものについては、以下の記事でも詳しく取り上げているので、あわせて読んでみてください。

▶ 【揚げ物やめられないあなたへ】老化と罪悪感の正しい付き合い方

ちなみに、EPAは「血液サラサラ」というキャッチーな言い方で紹介されることが多い成分ですが、これは血流に関わる栄養素というイメージを表現した言葉であって、医薬品のような明確な効果を保証するものではありません。あくまで「関わりが知られている栄養素」として捉えておくのがちょうどいい距離感です。

網の上で焼かれている青魚(さんま)、EPAを含む食材のイメージ

【重要】食品として摂ることと、医薬品として使うことの違い

EPA・DHAの話でよく混同されがちなのが、「食品として摂ること」と「医薬品として使うこと」の違いです。ここは正確に区別しておく必要があります。

実は、EPAは「エパデール」という医療用医薬品の主成分としても使われています。エパデールは中性脂肪の数値に関わる治療薬として医師の処方のもとで使われるもので、薬局で購入できるスイッチOTC版として「エパデールT」も存在します。つまりEPAという成分そのものは、医薬品として承認され、明確な用法用量のもとで使われている実績があるということです。

「スイッチOTC」というのは、もともと医師の処方箋が必要だった医薬品成分が、安全性などの審査を経て、薬局で処方箋なしに購入できるようになったものを指します。エパデールTが薬局で買えるからといって、健康食品やサプリメントと同じ扱いになったわけではなく、あくまで医薬品としての用法・用量・使用上の注意が定められた製品であることに変わりはありません。購入の際は、薬剤師や登録販売者に相談しながら選ぶのが基本になります。

YU人
YU人
じゃあ、鯖を毎日食べれば中性脂肪の薬と同じ効果があるんですか?
とりじん
とりじん
それは別物として考えてください。医薬品は決められた量のEPAを治療目的で使うもの。食品はあくまで日々の栄養バランスを整えるためのものなんです。

医薬品は、成分の量や純度が厳密に管理され、治療という明確な目的のもとで医師の判断によって使われます。一方、鯖やいわしなどの食品からEPAを摂ることは、あくまで日々の栄養バランスを整える行為であり、治療効果を目的としたものではありません。この違いを混同してしまうと、「食品を摂っているから数値の管理は大丈夫」という誤解につながりかねないので、注意しておきたいポイントです。

医薬品のエパデールは、1カプセルあたりのEPA量が明確に定められ、医師が症状や検査値に応じて処方量を決めています。対して食品や一般的なサプリメントは、そもそも治療を目的として設計されたものではなく、含まれる量にも幅があります。「病院で処方される薬の成分と同じ名前が出てくる食品成分だから、たくさん摂れば摂るほど安心」という考え方は誤りで、むしろ食品はあくまで日々の食生活を整えるものだと捉えておくのが安全な向き合い方です。

中性脂肪の数値が気になる場合は、食生活の見直しと合わせて、まずはかかりつけ医や健康診断の結果をもとに相談することが基本になります。数値の程度によっては生活習慣の改善だけで様子を見る場合もあれば、医薬品による治療が必要と判断される場合もあり、その判断は自己流ではなく専門家に委ねるべき領域です。

1日どのくらい摂ればいいのか

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、n-3系脂肪酸(EPA・DHAを含むオメガ3系脂肪酸のグループ)について1日の摂取目安量が定められています。年代や性別によって細かい数値には幅がありますが、このうちEPA・DHAとして合わせて1日1,000mg(1g)以上を摂ることが、栄養の専門家の間でもひとつの目安として語られています。

YU人
YU人
1000mgって言われても、量のイメージが湧かないです……
とりじん
とりじん
鯖の切り身1切れくらいで、だいたいこの量に届くと言われています。特別なことをしなくても、普段の食事で意識できる範囲なんですよ。

もちろん、毎日きっちり計算して食べる必要はありません。1週間のうちに魚を使った食事を数回意識的に取り入れるだけでも、平均的な摂取量は変わってきます。「毎日魚料理を用意しなければ」と気負ってしまうと続かないので、まずは週に2〜3回、魚をメインにした献立を意識するくらいの気持ちで十分です。外食やお惣菜を選ぶときに、揚げ物ではなく焼き魚や刺身の定食を選ぶだけでも、積み重なれば意味のある習慣になります。

魚種別に見るEPA・DHAの含有量の違い

ひとくちに「青魚」「赤身魚」といっても、魚の種類や部位によってEPA・DHAの含有量にはかなり差があります。あくまで目安として、可食部100gあたりのおおよその数値を並べてみます。情報源によって数値には幅があるため、「〜mg程度」という参考値として捉えてください。

  • マグロ(トロ・脂身の多い部位):DHA約3,200〜4,000mg、EPA約1,400〜1,600mg程度。魚種や部位による差が特に大きい
  • ブリ:DHA約1,700mg、EPA約940mg程度。抗酸化に関わるビタミンEも一緒に摂れるのが特徴
  • サバ:DHA・EPA合計で約2,000〜2,400mg程度。入手しやすさと価格のバランスがよい
  • イワシ:DHA・EPA合計で約2,300〜2,700mg程度

数字だけを見ると「マグロのトロが一番効率がいいのでは」と思うかもしれませんが、特定の魚を大量に食べなければ意味がない、というわけではありません。マグロのトロは日常的に食べ続けるにはコストの面でハードルがありますし、サバやイワシのように手に入りやすい魚を日替わりで取り入れるほうが、結果的には続けやすく現実的です。1日1000mgという目安も、1種類の魚に頼らず、いろいろな青魚・赤身魚を組み合わせて考えれば十分に達成しやすい数字になります。

同じ魚種でも数値に幅があるのは、旬の時期かどうか、天然か養殖か、水揚げされた海域や個体の脂ののり具合によって、含まれる脂質の量そのものが変わってくるためです。栄養成分表示のような厳密な数字を追いかけるよりも、「脂がのった旬の青魚は、それだけEPA・DHAも豊富に含んでいることが多い」というざっくりした理解で十分です。スーパーで「今が旬」と書かれた青魚を見かけたら、積極的に選んでみるのも一つの工夫になります。

調理法による違いにも軽く触れておきます。EPA・DHAは脂溶性の成分なので、茹でる・焼くといった加熱調理をしても、生で食べる場合と比べて大きく失われるわけではないと一般的には考えられています。ただし、煮汁ごと食べない調理法だと、溶け出した分がそのまま残らないこともあります。その点、缶詰は汁にも成分が溶け出しているため、汁ごと使う調理のほうが効率よく摂れるとされています。味噌汁や炊き込みご飯に缶汁ごと使うひと工夫が、地味に効いてくるポイントです。

実際の食事に落とし込むなら、1食で目安量を満たそうと気負う必要はありません。たとえば朝はイワシの缶詰を少し、夜はブリの刺身を数切れ、といった具合に、1日を通じて少しずつ青魚・赤身魚を組み合わせていけば、無理なく1000mg前後に近づいていきます。1品だけで完結させようとせず、1日全体・1週間全体でならして考えるくらいの感覚が、結果的には続けやすい摂り方になります。

食事に取り入れる具体例

「魚を捌くのは面倒」「毎日買い物に行けない」という人には、缶詰の活用がおすすめです。鯖缶やいわし缶は、汁ごと使えばEPA・DHAを効率よく摂れるうえ、常温保存できて価格も安定しているので、日々の食事に取り入れやすい食材です。

  • 鯖缶(水煮・味噌煮):そのままでもいいですし、味噌汁や炊き込みご飯の具にしても
  • いわし缶:トマト煮やパスタの具材にすると洋風のアレンジもしやすい
  • 刺身用のブリ・マグロ:週末など、少し余裕のある食事に取り入れる
  • イクラ:ちょっとした贅沢として、ご飯にのせるだけでも立派な一品に
開けたオイルサーディンの缶詰、缶詰で手軽にEPA・DHAを摂るイメージ

味噌汁の具にする場合は、鯖缶を足すのもおすすめです。ちなみに、使っている味噌は八丁味噌なのですが、これは特に理由があってのことというより、健康を意識して選んでいるだけの、ごくシンプルな習慣です。

買い置きのしやすさも缶詰のメリットです。冷蔵庫に生の魚がない日でも、鯖缶を1つ開けるだけで主菜が1品できあがります。忙しい平日は缶詰、時間に余裕のある休日は刺身や焼き魚、というふうに使い分けると、無理なく続けやすくなります。子どもと一緒に食べる場合は、味噌煮のように味付けがしっかりしているものから慣らしていくと食べやすいようです。

サプリメントを選ぶときに気をつけたいこと

魚が苦手な人や、忙しくて食事だけでは補いきれないという人は、サプリメントを活用するのもひとつの方法です。ただし、サプリメントはあくまで食品の一種であり、医薬品のような明確な治療効果を目的としたものではないという点は、ここまでの内容と同じです。

選ぶときは、EPA・DHAの含有量が明記されているか、原材料や製造元がはっきりしているかを確認するようにしましょう。過剰な効果をうたう表示がある商品は、かえって慎重に見たほうがいいかもしれません。

魚油は酸化しやすい性質を持っているため、パッケージに「酸化防止」に関する記載があるか、開封後の保存方法(冷蔵保存の指示など)が明記されているかも、意外と見落としがちなチェックポイントです。粒が大きくて飲みにくい場合は、ソフトカプセルタイプや液体タイプなど、続けやすい形状を選ぶことも継続のコツになります。魚由来の原料が苦手な人向けに、藻由来のDHAを使った商品も出てきているので、食生活や好みに合わせて選択肢を広げてみるのもいいでしょう。

黄色いオメガ3系サプリメントのカプセルが並んでいる様子

栄養素を単体で見るのではなく、全体のバランスで考える視点も大切です。たとえば日光と食事の両方から摂り方を考える必要があるビタミンDのように、栄養素ごとに特徴があります。気になる人は以下もあわせて読んでみてください。

▶ 【地域と季節で大きく差】ビタミンD、日光と食事の正しい摂り方

摂り過ぎ・体質によって注意したい人

体にいいとされる栄養素でも、摂りすぎには注意が必要です。EPA・DHAは脂質の一種なので、サプリメントで大量に摂取するとカロリー過多につながったり、人によっては胃もたれのような不調を感じたりすることがあります。

また、血液の状態に関わる栄養素であることから、血液をさらさらにする薬を服用中の人や、手術を控えている人は、サプリメントで追加摂取する前にかかりつけ医に相談することが望ましいとされています。妊娠中・授乳中の人も、魚の種類によっては摂取量に配慮が必要な場合があるため、自己判断だけで大量に摂るのは避けたほうが安心です。

魚アレルギーがある人は、当然ながら魚由来のサプリメントも避ける必要があります。持病があって定期的に薬を服用している人、健康診断で数値の指摘を受けている人は、サプリメントを始める前に一度、医師や薬剤師に相談しておくと安心です。「体にいいはずのもの」でも、体質や服用中の薬との組み合わせによっては配慮が必要になる、という前提を忘れないようにしましょう。

健康食品やサプリメントのパッケージには、「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」といった注意書きが記載されていることがよくあります。これは、サプリメントがあくまで補助的な位置づけであり、日々の食事そのものを置き換えるものではない、ということを示す表示です。EPA・DHAについても同じ考え方が当てはまり、サプリメントに頼りきるのではなく、まずは食事全体を見直す視点を持つことが遠回りのようで確実な方法になります。

栄養は特定の成分だけを見るのではなく、腸内環境や食事全体のバランスとあわせて考えることも大切です。基礎知識として、以下の記事も参考になるはずです。

▶ 【免疫の7割はここに】腸と整腸剤

まとめ

EPA・DHAは、どちらも体内で作りにくい必須脂肪酸で、日々の食事から補うことが基本になります。DHAは脳や神経、目の機能維持に関わり、EPAは血管や血中脂質のバランスに関わる栄養素として知られています。

DHAとアルツハイマー病の関係は、研究が進められている段階であり、予防効果を保証するものではありません。またEPAは中性脂肪の治療薬(エパデール)の主成分でもありますが、これは医薬品としての話であり、食品として摂ることとは目的も効果の性質もまったく別物です。この違いを理解したうえで、鯖缶やいわし缶のような身近な食品から、無理のない範囲で継続して取り入れていくのが現実的な付き合い方だと思います。

青魚や鯖缶を日常的な献立に取り入れることは、血管の健康を意識した生活習慣のひとつとして、無理なく続けやすい方法です。1日1食にこだわる必要はなく、まずは週に数回、鯖缶やいわし缶を食卓に加えるところから始めてみるのがおすすめです。

健康情報にはどうしても「これさえ摂ればすべて解決する」という魅力的な言い方があふれがちです。でも実際に大切なのは、ひとつの成分に過度な期待をかけることではなく、必須脂肪酸としてのEPA・DHAを、他の栄養素と同じように「日々のバランスの一部」として無理なく取り入れ続けることだと思います。今日の献立に、青魚や缶詰を1品加えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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よくある質問

Q. サプリと魚、どっちで摂るのがいいですか?
A. 基本は食事からの摂取がおすすめです。魚には他の栄養素も一緒に含まれているため、食事全体のバランスを整えやすくなります。魚が苦手だったり、食事だけでは補いきれなかったりする場合に、サプリメントを補助的に活用するとよいでしょう。

Q. 妊娠中や子どもは摂ってもいいですか?
A. DHAは子どもの発達期にも意識したい栄養素とされていますが、魚の種類によっては摂取量に配慮が必要な場合があります。妊娠中の人や小さな子どもがいる家庭は、自己判断だけで量を増やさず、母子手帳の資料や医師の案内を確認しながら取り入れるのが安心です。

Q. 缶詰でもちゃんと栄養は摂れますか?
A. はい。鯖缶やいわし缶は、汁までしっかり使えばEPA・DHAを効率よく摂れる食品です。生の魚を調理する手間がなく、常温保存できるので、忙しい人にも取り入れやすい選択肢です。

Q. EPAを摂れば中性脂肪の薬と同じ効果がありますか?
A. いいえ、それは別物として考えてください。エパデールは医薬品として決められた量のEPAを治療目的で使うものです。食品からEPAを摂ることは、あくまで日々の栄養バランスを整える行為であり、治療効果を目的としたものではありません。数値が気になる場合は医師に相談しましょう。

Q. EPA・DHAのサプリメントは毎日飲み続けても大丈夫ですか?
A. 基本的には、パッケージに記載された摂取目安量を守っていれば、日常的に続けても問題ないとされています。ただし、他の薬を服用中の人や持病がある人は、飲み合わせについて事前に医師や薬剤師に確認しておくと安心です。体調に変化を感じた場合は、自己判断で続けずに専門家に相談しましょう。